姉妹店〜店と人柄の話

2012.06.27 Wednesday 00:22
初夏ですね。

さほど気温も上がらずなかなかいい気候です。

梅雨が終わればじわじわと暑い日も増えて来そうですが、今は季節メニューのミントティーもお出ししておりますので、爽やかな気分になって頂けたらと思います。

さて今回は前回のブログからズイブンと間が空いてしまいました。
ただでさえ更新遅いのに、ゴメンナサイ。
 
言い訳でもありませんが、この所色々とバタバタしておりまして、実は新しい計画なども持ち上がっておりますので、ちょっとここでお知らせしますね。
 
実は今アール座が入っているビルの上、3階のフロアには以前イベントスペースのような形態の店があったのですが、こちらのお店が最近閉店することになってこのスペースが空いたんです。
 
で、ここに今度ウチが新しい店をオープンすることになったんですね。
今はその計画が始まった所なんです。

こちらはアール座とは別のコンセプトを考えており、今度のお店は何と店内で会話が出来るという画期的なシステム(?!)です。

アール座にお連れの方といらして、これで話が出来れば良いのに…と思われた方にもオススメのお店になりそうです。

お食事なども考えておりますが、最終的に固まるのはまだ先です。
 
実はアール座の開店当初には、もしこの読書喫茶室という形態がビジネス的に厳しかったら少しづつ利益型の経営(つまり普通の店)に移行して行こうかという考えもあったのですが、本当に皆様のお陰で、経営が微妙なバランスで成立し、また皆様のお声やらくがき帳のお言葉を知り、そんなツマラナイ計画は消し飛んでおりました。
 
しかしこの度、私ごとで恐縮なのですが、先日何と子供が産まれてしまいまして(バタバタの理由その2)、今さらになってまんまと家族を養うハメになってしまいました。

それに関しまして、先日は急な開店時間の遅れが生じ、お客様にご迷惑をおかけしてしまいましたことをお侘び申し上げます。
 
最近は家に帰ると、ついこの間までいなかった小さな人がすやすや寝ていて、何だか不思議な気持ちです。
 
そんなワケで、長期的に一定の収益を見込めるお店が必要になったという個人的理由もあるんですね。

アール座はもちろん変わりませんよ。
今のまんまでずっと行きます。
で、それと違う形をもう一軒、という話です。

もちろん一般的なカフェ形態とはいえ、僕がやる以上ありがちなお店にはなりません。

以前から、心を鎮めるアール座の方針の中では実現が難しい企画を思いつく度に「他の形の経営もやってみたいな」という構想は持っていたんです。
 
本音を言えば生活のことよりも、こちらのモチベーションの方が強いくらいです。
 
さてどんな店になるんでしょうか。
 
アール座は明治の洋館や書斎、古い木造校舎、図書室なんかの写真をネタに、非常に感覚的なイメージ(こんな雰囲気でこんな匂いの…という要素)を固めて工事に挑みましたが、3階に関してもまた別の新たな画像を、今幾つか頭の中でパズルのように組み合わせて構想中です。
 
僕の場合アドリブ工事なので、先に正確な図面を書いてそこに向かって作業を進めていくという手順を踏まず、ディテールは作業しながら(または開店後にも)徐々に形作られていくのですが、そこで軸になるのが「感覚的なイメージ」や「コンセプト」という割と不確かなものです。
 
業態はおいおい詰めてゆくつもりですが、コンセプトに関してはアール座同様、日常や現実から離れてくつろげる場所という理念を貫きたいなと思っております。

同じ現実逃避でも、どちらかと言うと2階は「心を鎮める」「自己と対面」という感覚が強いのに対し、3階はもう少しファンタジックで、「発見」や「気づき」「意識転換」が出来る店にしたいという方向を考えております。 

こんなセオリーを無視した工事をしたりヘンなコンセプトを考えたりしていると、自分はつくづく「内向型気質」が強いなんだなぁと感じたりします。

以前このブログで性格や気質の話をした時に出て来た言葉(→
http://r-books.jugem.jp/?page=1&cid=12)で、社会的な理念よりも自分の価値観を優先させてしまう思考型タイプのことです。

もちろん世間にはコンセプトなんてない「いいお店」が沢山ありますね。
 
意図的にこういう風に持っていこうという意思なんてなくても、立派なオーナーさんが心を込めて経営することで、その真心や人柄が自然とにじみ出ている素朴で暖かみのあるお店というものが巷に結構あります。
 
人間性が未熟な僕なんかには、こんなのは難しいです。
元々人が苦手だったヤツだし…σ(^_^;)
 
そういう大人っぽいお店は社会性の強い外向型の人が作るように思います。
また飲食店を経営するようなタイプの人には外向型の人が圧倒的に多いようですね(そりゃそうだ)。
 
そう思うとアール座は、元々の素質が飲食に向いていないヤツがやっているからこんなへんてこな店になんだなぁと思えてきます。

飲食店というよりも、ディズニーランド(レベルが違いますが)やよくTVに取材される地方の発明おじさんの創作のような気合いの入り方に近い感じがしますね。

こんな風にトレンドやセオリー、技術、職人性のような、社会的にまともな要素よりも新規性や驚きを求めてしまうのは、内向型気質の特徴である社会性の低さに関係しているのかも知れませんし、人のためになる店にしたいとか強く思うのも、内向型ゆえの若い頃の無用者意識を今になって埋めようとしているのかも知れません。
 
店や仕事って本当に人間が出るんですよね。
個人経営店なんて、自分の人生や思考を人前にさらけ出しているようで、恐い位です。
 
表現とかってアーチスト職の人達がするものと思っていましたが、自営業だって、きっと事務仕事の人が作る書類だって同じようにその人柄や人生がにじみ出ていたりして、そう思うと皆生きているだけで表現者ですね。
 
表現と思えば、真剣に向き合い続けることで世間的に欠点と言われるような部分でも個性としてとんがって来ることが、なかなか悪くないように思えてきます。
 
例えば僕のように、意識的計画的にコンセプトを企てていくことで、欠陥の多いこんな奴でも、ウマく行けば人様を楽しませたりすることが出来るかも知れないのだから、世の中分かりません。

まぁ、まともなお店は自分がやらなくても世間に沢山あるけれども、変な店は変な奴がやらないと世の中に存在しないですからね。
モチベーションも違ってきます。
 
アール座にいらっしゃる皆様の気質タイプはどうなんでしょうね。

色々なタイプの方がいらして簡単には言えませんが、やっぱり他の場所と比べると内向型の方の比率は高そうな気がします。

ご自身の好みをよく理解されていて、メニューや座席や本など沢山の選択肢の中から瞬時に的確に自分が一番好きなものを選び出せるような方(大抵ご本人はそれが当たり前のことと思ってたりします)をこの店ではよくお見かけするのですが、これは内向型の人の特徴なのかも知れませんね(当たり障りないものや普通は何を選ぶんだろうと考える外向型の人の方が世間には多いのです)。

個人的には、今家に寝ている生後10日程の女の子の気質を見極めようと、色々と観察したりちょっかい出したりの今日この頃です。


さて店作りの正念場はこれからです。

アール座を作った時と同じ、地獄の内装工事作業がまたもや夏場です。
 
これから一時、アール座に立つマスターの目の焦点が合っていない時もあるかも知れませんが、あまり気にしないでおいて下さいね。
 
アール座の開店もそうだったのですが、おそらく上の店もオープニングパーティーとか大々的な告知とかはせず、何となくしら〜っと始まっていると思います。

元々僕は私生活に置いても「節目」というものが苦手で、自分に関する「〜式」と名のつくものもは、高校の入学式を最後に出ていないようなヤツなのですが、やっぱりお店も「あれ、こんな店あったっけ?」と、いつの間にか始まっている感じがいいなぁとか思っています。
 
でも期待して下さっている方もあるかも知れませんので、近くなったらこのブログではこっそりお知らせしますね。
 
ただ、やはり内装に時間がかかりますので、実際の開店はまだ先です。
2、3ヶ月後になってしまうんじゃないかな。

それにしても、こんなことが出来るのも本当に皆様のお陰なんです。
ありがとうございます。
ありがとうございます。(選挙みたい)
 
そんなご恩に報いるためにも、世界的にも類のないような不思議な店を高円寺の路地裏に出現させて、皆様の幸せにわずかでも貢献出来ればと思っています。
 
何が出来るかは乞うご期待です!

古い汽車の中みたいな店もいいな。
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泣けるお話のすすめ

2012.05.03 Thursday 00:32

早くも、猛暑の兆しを思わせる暑い日が時々あったりしますが、それでも5月は総じて過ごしやすい季節です。

近頃の東京は、エアコンに頼らず心地良く過ごせる気候の日数が年々減って来ている気がするので、やはり貴重な季節ですね。
十分に楽しんでおきましょう。

所で最近、アール座のカウンターにスラッと背の高い爽やか風味の青年が立っているのを見かけた方もおられると思います。
彼は今度から店を手伝ってもらうことになった原君です。

なかなか人を雇える経営でもなくずっと一人でやって来たのですが、少々のっぴきならない事情が重なりまして、彼に夜の時間帯を手伝ってもらうことになり
ました。

アールヌーボーが好きな美大生の原君は、まだ若いのにこの店独特のコンセプトや役割を非常によく理解してくれています。

普通カフェなんかのバイトでは大まかなオペレーションのマニュアルに目を通してから、体で流れを覚えさせるような教え方の所が多いのですが、ウチのような店は少し事情も違うので、小さなケアから感覚的なホスピタリティの話までをちょっと神経質なくらい細かいマニュアルにして、覚えてもらう所から始めました。

最初は不慣れな点もあるかも知れませんが、すぐにコツをつかんで、店の空気を柔らかく繊細にコントロールしてくれる素養のある人材だと思っております。
皆様何卒よろしくお願い致します。

お客さんとして来てくれていた頃の原君もそうでしたが、この頃、疲労や悩みを抱えてアール座にいらっしゃる方が、この空間に癒されたと言って下さる(書いて下さる)ことが以前より増えて来て、大変恐縮しております。

商売としてのやり取りを超えた所で何かが出来る店を目指しているアール座として、これは本当にありがたく嬉しいお言葉で、ついつい自分の手柄のようにうかれそうになってしまいますが、でもよく考えてみると実際に店がやっているのは、ただ静かにしてお茶出してるだけなんですね。

なら、本当の所は一体誰が癒してくれているんでしょうね?
この辺に関して、店に立っていると何となく感じることがあります。

人は皆どんなに疲弊して弱っているように思えても、生きている以上は自分の中にメンタルな治癒力のようなものをちゃんと備えていて、少し静かな所で気分 を変えるだけで、それが機能し出して、知らない内にきちんと自分の精神状態を正しい位置に直してゆくように思えます。

何もせずにくつろいだだけで、気持ちの整理が出来たり気分が変わったというのがその証拠です。

我々は「癒される」という受動態の言葉を用いますが、ほんとはアレ、自分でやってるんですね。
人間の体ってすごいです。

だから現代を生きる我々は、ストレスを消化し、幸せな時間をチャージする時間を持つことを怠ってはいけないのです。

そこで、今回はそんなことに役立つ「泣ける話」なんかをおススメしてみましょう。

最近では、涙を流すことがストレスを軽減させると言う話も一般的になりました。
深い悩みを消化出来るようなことではありませんが、何となく気分がのらないというくらいの時には、あえて泣いてみることで結構気分の軸が変わったりもします。

所で、感受性が強い人というと「強い」という言葉とは裏腹に、一見弱々しい印象があったりしますね。
悲しみを前にして余計に辛い思いをさせる感受性の強さには、打たれ弱さにつながるイメージが付随するのでしょう。

よく思うのですが、こういう世間的な見方はいつも表面的で浅はかな所がありますね。
僕は豊かな感受性というものはいつだって人の強力な味方で、心を守ってくれるものだと思っています。

感受性が沢山の気づきを与え人生を豊かに彩ってくれることは言うまでもありませんが、悲しいことをちゃんと悲しめる力という意味でのそれは、長期的に見 てストレスに対する強い抗力と言えるんじゃないでしょうか。

風になびく葦の強さと言いましょうか、日頃悲しさを意識出来ない人の方が、台風でぼきっと折れてしまう木の枝のような危うさを持っているようにも感じます。

この点で優秀なのは小さな子供の態度でしょう。

あの人達は少しでも嫌なことがあると、そのつど激しく泣き叫んで発散するので、嫌な思いを持ち越さず、簡単にはストレスフルな状態になりにくいのではないでしょうか。

生物は他の物質と違って、有益なものを外から取込んで有害なものを出すという「代謝」を繰り返すことで定常性を保ち、必要な性質や状態をキープします。

だから、人の体もウィルスを取り込んだりを悪いもの食べてしまった場合には、とにかく体に回る前に鼻からでも口からでも下からでも急いで体の外に排出する緊急の処置が行われますね。

僕は子供の頃わりと胃腸の弱い子で、すぐにお腹を壊してはそれを弱点のように感じて気にしていましたが、もし今彼に会えるなら「そういう体は、悪いものが体に入ったことを早い段階で察知して、素早く排出する機能が鋭く働き続けている能力の高い体なんだよ」と、通りすがりの優しいお兄さんのフリして教えてやりたいです。

そして、感受性がストレスや辛さをそのつど意識化させ落涙を促すことは、ストレスを外に排出するための精神面での代謝機能と言えそうですよね。

人間以外の生き物が泣かないのは、きっと精神がそれ程複雑でないために泣く必要がないからなんだと思います。
逆に言うと、辛いことの多い人間は泣く必要がある生き物なんじゃないでしょうか。
 
カタルシスというものがありますね。
悲劇を鑑賞して気持ちがスッキリと浄化されるようなことですが、泣くのがただ辛いだけの行為ならば、人はすき好んで号泣する映画を見に行ったりしないワケです。
でも、実際には皆結構泣くことが好きですね。

近年、実際に涙の中にコルチゾールというストレス成分が含まれていることが発見されたらしいのですが、物質的な代謝が行われていることも証明されてしまいました。

大人だと、概して女性の方がこの手の機能を使いこなせている感じがしますよね。
泣ける映画とか好きだし、泣きながらお料理出来たりもしますね。
その心地良さや効用を感覚的に知っているんでしょう。

昔カタギの男性は、女性のこういう所を不信に思ったり恐がったりしますが、何のことはない、健康法みたいなもんです。

若い頃は僕もこういうことを知らなかったので、知人の女の子が失恋をした後、しばらくの間ちょっと大丈夫かと思うくらい泣き続けて、心配していると数日後にはウソみたいにケロッとしてたりして驚かされたものです。

短期間でストレスを全部吐き切って、スパッと忘れてしまうんですね。
動物のように体の本来的な機能を有効に使った見事なストレス対処で、男子にはマネの出来ない本物のタフさだと思います。

男も同じ様にすれば良いと思うのですが、我々は子供の頃から泣くのがよくないことと言われて育っているので、今から急にああいう泣き方をしようと思っても簡単にはマネ出来ないです。
わんわん声を出して泣くような方法を、もう体が覚えていないんですね。

で、やせ我慢をしたあげく、いつまでもそのことについて語ったり胃に穴開けたりするのが男なんです。
生ガキにあたって「オレは胃が強いから平気だ」と言い張って吐き気をこらえ、体中に毒を回してしまうようなもんですね。

辛いことがあっても、それをちゃんと悲しめて泣けている内は、少なくとも精神機能は大丈夫な気がしますが、逆にストレスを消化出来ずに長引いて感情が効かなくなって来ると面倒なことにもなってしまうので、今泣ける人には日頃から沢山泣いて精神を健康に保つことはきっと意味のあることでしょう。

時々「意味もなく涙が出て止まらない」という時期が来る人がいますが、「長期的に溜まっているストレスを自動的に排出する」という精神の代謝機能が非常に優れた人なのかも知れませんね。

話がそれますが、先日TVでブータン王国の生活をリポートする番組を見ていました。

ブータンといえば、国民の幸福感をリサーチすると、その数値が世界でもずば抜けて高い国として有名ですが、リポーターが地元の人にストレスについての質問をしようとした所、通訳の人が「ストレスの意味にあたる言葉がこの国にはない」と困ってしまう場面があり、出演者も皆そのことに驚いていました。

僕も驚いて、ストレスという概念がないのかなとか考えていたのですが、考えてみたら「ストレス」って外来語ですよね。
元来その意味で使われた日本語を考えてみたのですが、やっぱり浮かばないんです。

昔の日本にだって無かったんですね、ストレス。

もちろん疲労や苦しみはあったのでしょうが、我々が一般的に「ストレス」と呼ぶ、あの現代的社会的な疲弊感とは違うものなのでしょう。

ブータン政府の高官は「経済発展と競争」を、幸せを奪うものとして危ぶんでいました(あの国は政府がこういう考え方するんです)が、やはり日本人のスト
レスもこれに伴って持ち込まれたものなのでしょうか。

経済発展には良い所もありますが、その中を生きる我々はストレスをウマくかわしてゆかなければ生きてゆけないんですね。

というワケで、泣ける話のご紹介です。

アール座の書棚は基本的に、限られた時間の中で軽く手に取ってどこから開いても楽しめるアートや写真、図鑑などのビジュアル本、文学なら短編や童話、詩集が蔵書の中心なので、最初から最後まで読んでがっつり泣ける物語というものは多くはないのですが、それでもあるにはあります。

中でも軽く泣ける話というのは、概して文学的要素の薄い高学年向けの児童書に多い気がします。
どうぞ今月はアール座のリラックスタイムをあなたの涙で濡らして下さい(何だそれ)。

ギャラリー展示中なので、本は全て書棚にあります。

「西の魔女が死んだ」 書棚ボックス、左から2列目、上から2段目の「童話、ファンタジー」のコーナー

奇才、梨木果歩のデビュー作ですが、実はこの名作、出版用に書き下ろされたものではないんだそうです。
作者が、かの名臨床心理学者、河合隼雄の下でアシスタントの仕事をしていた際、個人的に先生に読んでもらおうと書いて送ったものに河合が感動して、「こ れは出版しなければいけない」と勝手に出版社に送りつけてしまった作品なんだそうです。
英国の魔女の血筋を引く祖母と少女の心温まる物語。

「裏庭」  書棚ボックス、左から2列目、上から2段目の「童話、ファンタジー」のコーナー

比較的ファンタジー要素の少ない、現実的な「西の…」に対して、こちらは主人公の少女がどっぷりと濃いめのファンタジー世界に入っちゃいます。
それぞれが心の中に葛藤を抱える現代的な家族の物語でもあり、後半の要所要所に、地雷のように泣き所が…。

「肩甲骨は翼のなごり」 書棚ボックス、左から2列目、上から2段目の「童話、ファンタジー」のコーナー

昔古本屋で見つけたのですが、有名な作家さんなんでしょうか。
少年が新たに引っ越して来た家の倉庫に、人間らしからぬ見知らぬ男が…。
近代米文学っぽいアメリカンテイストのファンタジーで、カッコいい童話です。

「ドラえもん 第6巻」 一番右のラック、下から3段目のコミック本のコーナー

名作ぞろいの呼び声高い6巻です。
子供の頃生家の立て替えに際して漫画本を大量処分しなければならず、20冊程あったドラえもんも手放したのですが、この一冊だけは捨てられませんした。

「夕焼けの詩」 一番右のラック、下から2段目のコミック本のコーナー

読み切りマンガなので色々な話がありますが、たびたびホロリと来る話があります。
号泣は期待出来ませんが、どの巻も非常に小気味よい作品集でオススメです。映画の「ALWAYS」シリーズとは別物と思って下さい。

「藤城誠治 影絵の世界展」 ボックス、右から3列目、最上段の「日本画、日本美術」のコーナー

「泣ける」というポイントは人によってかなりツボが違ったりするので、今月のおすすめは参考程度に思って頂きたいのですが、アート作品にまでなると全く
責任が持てません。
ただ、僕は結構泣きそうになりました。


軽く泣いて下さいとおすすめしましたが、その日の精神状態によってはドラえもんで嗚咽してしまう方もあるかもです。

今月はそんな人を見ても、そっとしておいてあげましょう。
きっと色々あったんです。


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アール座の植物

2012.03.26 Monday 01:34
さすがにもう「やっと暖かくなって来ました」と言ってもいいでしょう。
春です。やっとです。
すぐにまた暑くなっちゃうので、この貴重な過ごしやすい季節を大事にしたいですね。

今年もシルクジャスミンが小さなレモンのような実をつけ始めました。

こんな季節に実がなるのは室内栽培で季節感がバカになってるんだろうと思って、以前ブログでそんなことを書きましたが、調べてみたらなんとこの子は3月に実をつける樹なんだそうです。
ジャスミンさん何も知らずにバカとか言ってごめんなさい。
 
熱帯の植物だからこちらと違うのでしょうか、毎年冬頃に白い花を咲かせ、部屋一杯にとても品のいいジャスミンのような香りを漂わせてくれます(あのジャスミンとは全く別種です)。
で、その時期にウマく受粉出来ると3月頃に小さな青い実をつけてくれて、それが次第に真っ赤に色づいてゆき、5月くらいまで楽しめます。

一応自家受粉もするらしいのですが、室内のそれではほとんど実らないので、落ちたばかりの花を拾ってはその花粉を別の樹の花のめしべに無理やりぐりぐりと押し付けたり(人工授粉ですね)していますと、次の春には沢山の実を実らせてくれます。

アール座の植物達は、この空間を癒してくれている最も重要な立役者といっても過言どころじゃありません。
暗い北側窓の密閉空間の中で、よくまぁ育ってくれているものだといとおしくもなります。
なので今回は植物の話でもしてみましょう。
 
所で、植物って気にしているとどんどん元気に育ってくれますよね。
この辺が栽培のコツと言っても良いんじゃないでしょうか。

何かしら育てられたことのある方ならお分かりかと思いますが、毎日気にして可愛がっているのと機械的に世話だけしてるのとでは明らかに違うんです。
最低限の環境条件下であれば、思い入れのある植物は簡単には死にません。
不思議です。
僕なんかそれを逆手に取って、多少世話を怠った時なんかにも「立派に育ってるなぁ」などと声をかけてゴマ化したりします。
 
一時、世話が要らないという説明でチランジア(エアープランツ)が雑貨屋に並んだりしてましたが、あれも本当に放っておいたら普通に枯れてしまいますね。
ウサギみたいですが、正しい水やりと愛情を込めて育てるとすごい立派になったりもするんです。
 
アール座の植物はその点で強みがあって、毎日沢山のお客様に見て頂いて「わぁー緑がいっぱい」とか「大きくなったなぁ」とか気にして感じて頂けることが、彼らの成長の促進剤になっている気がしてしょうがないです。
 
さすがにこの部屋の窓の光だけでは光量が足りないので、毎晩閉店後に植物達を一カ所に集め、タイマーで早朝前から開店までの間、大光量の強力な照明(室内菜園などに用いられているヤツ)を四方から当てるのですが、それにしたってこの暗い室内でここまで茂ってくれるのは偉いですよね。
 
中央通路に左右からアーチを作っている大きな2本がベンジャミン(ベンジャミナ)です。
観葉植物として最もポピュラーな品種で、販売しているものはよく幹を編み込まれたりしちゃってますが、普通に育つと当然ですがこんなにカッコいい樹木になります。丈夫で育てやすいです。
 
大プランターの窓際と中央のソファの後には2本のガジュマルが生えています。
よく沖縄の砂浜にお化けのようなこれの巨木が生えていますが、あんなのにはキジムナーという可愛らしい妖怪が1匹づつ住んでいるそうです。
ジャングルでは他の樹木に巻き付いて締め上げて殺してしまうというなかなかおぞましいヤツです。

そして窓際の座席それぞれに、左からかぶさるように生えているのが柑橘系のシルクジャスミン(ゲッキツ)です。

検索してみると、この樹の赤い実でジャムが出来るというような情報があるのですが、実際食してみると強い苦みと渋みがあります。
砂糖だけでごまかせるのかなぁ。時間かけて灰汁抜きをするんでしょうか。

今年は沢山実ったので試してみて、ウマく行ったらお知らせしますね。
何も言わなかったら「ああ、ダメだったんだな」と思って下さい。
 
さらにそれぞれのプランターの低層部分には、豆の木、クワズイモ、数種のシダ類やカタバミ等、窓際の小さなプランターにはジャカランダやアイビー他、テラリウム水槽にはシダやモス、ポトス、ワイヤープランツなどなど所構わず植えまくっております。

さらには窓の外の欄干に、ツタ類やアサガオ、フウセンカズラ、ヘビイチゴだのドクダミだの、その他ハーブ類苔類と、もう何でもありで、正直全部覚えてません。

園芸店で購入したものから近所の空き地で引っこ抜いて来た雑草まで様々です。
皆とても賢い人達で、自分で空間を考えてしかるべき方向に枝を伸ばします。

ベンジャミンは始めから幹が2m以上あり、オープン前、店に搬入した時点で天井まであまり距離がなく、見た人が「このままでは天井に当たってしまう」と心配することも多かったのですが、僕は植物ってそんなにバカじゃないから大丈夫だろうと思っていました。

案の定最初に小さな枝が一本だけ、まるで触手の様ににょきにょきと天井に触れるくらいまで伸びて、それで計ったかどうかは知りませんが、それっきり後は横方向にばかり広がる様になりました。

ウチではほとんど剪定をしないにも関わらず、5年経った今でもご覧の通りです。
そればかりか、ちゃんと通路部分を避けて隣のベンジャミンと共にアーチを作っているから驚きです。
行き交う人の空気の流れを読むのでしょうか、座席方向に伸びて来ることも先ずありません。
くどいようですが、生きている枝にはほとんど手を加えていないんです。

そういえば森の樹木も、大型動物が通る獣道をよけて伸びるのだと言います。

それだけではなく、森の植物って生態の違う無数の種類が、信じられない程複雑な住み分けを見事に実現していますよね。
トレッキングに出かけると、僕はこれを見る度に感動してしまいます。
 
水槽の水草をレイアウトするときはどんなに細かく気を遣って植えても、人の手が入った作り立てはバランスが悪くてすごい不自然なんです。
時間が経ち、自然の流れに従って水草自身がそれぞれのスペースを持って繁茂することでレイアウトされた水景というのは(もちろん種や個体同士の勢力争いというものはあるのですが)、全ての個体があるべき場所にあるという感じでやっぱり素晴らしいんです。
 
なんだか賢くてスマートな在り方ですよね。

他の生き物の生態を根こそぎさらって敷地を広げ、コンクリートで塞いだ上にワガモノ顔で暮らしている我々の暮らしを彼らの目線で見ると、きっと我がままな子供の様に見えてしまうのでしょうか。
 
そしてそんな人間にも木々達は優しいです。
風水なんかでよく聞くのは「部屋に観葉植物を置きなさい」というヤツですね。

西側に黄色いものを置くと…とかいうのはシロウトにはよく分かりませんが、植物で気が良くなるのは、僕が聞いても間違いない気がします。

植物の葉や枝に触れるだけでも人は浄化されると聞きます。

ご存知の様にウチの通路には左右から樹の枝がせり出して来ているので、通る際には枝をよけずにわさぁーって触れながら歩いてくれたらいいなと思います。

僕くらいの身長だと、ベンジャミンのアーチをくぐる時にはちょうど枝先がさらさらと頭のてっぺんをなでてくれるので、何だか気分も良くなります。
でも、背の高い人が行くと顔面にわさーっとなっちゃいますね。
まぁそれはそれで楽しいかもです?

生物学的にも動物と植物の間には互いに与え合い浄化し合う強い相互関係があります。

 ウチの植物達には水槽で魚達が汚した古い水(アンモニアなんか含んだ酸性の水)をくみ出してやっていますが、この水が古くて魚にとって有害であればある程植物には栄養豊富ということになるんですね。
 
我々動物にとって汚いイメージの生ゴミや排泄物が彼らにとっての恵みで、我々がありがたがる酸素やイオンやはあの人達の排泄物みたいなもんです。

考えてみれば、このそれぞれが異なるものを求める相互関係の形が生態系の要であり、地球環境を著しく特徴づけているわけです。

森の住み分けだってこうした相互関係の一つですよね。

光を求めて高く伸びる者もあれば暗い湿った所が好きなのもいて、それらが相互に依存しあっているという所がすごいのです。
皆が同じものを良しとしてしまうだけだと、シンプルに競争が起こって負けたものが滅び、その影響でいずれ勝者も滅びて終わり、という感じでしょう。

人はすぐ自然界を弱肉強食の世界と表現しがちですが、これは競争好きの人間が好むドラマティックで偏った見方な気がします。

自然界に強い者が生き残るという側面があるのは間違いないことですが、その他にも、違う所を目指す独自性や厳しい環境になじむ順応性、個体数を増やしてしのぐ繁殖力など生き残りを決める選択肢はいくつもあり、強さで生き残るという方法はその一手段でしかなく、それを全体的に見た時に浮かび上がるのが、今見直されている「多様性」という姿なのでしょう。
 
自然のシステムや動物の本能には、相手を「食らう」というよりも「利用する」というクレバーな表現の方が似つかわしい気がします。

何となく人の世もそういう方向に行けば良いのになぁと思う今日この頃です。

本当は人はそれぞれに違う所を目指しつつそれぞれのペースで生きてゆけばいいのですが、この社会で暮らしていると、いつしか皆と同じものを欲しがらないといけないような気にさせられ、気づいたら競争させられてるような所ありますよね。

まぁそれすら本能でもあるんですが、それのままに生きようとする人はすぐに人生をレースに例えたりします。
僕、嫌いですねー、これ。
 
多くの人が同じ時間を並んで生きてゆくということに関して僕が思い浮かべるのは、レース競技よりも日曜日に一般解放されている競技場のトラックみたいな状況です。
 
大会に向けて練習しているアスリートからダイエット目的の人、ただの気晴らしの人まで、それぞれが思い思いの目的を持ってそれぞれのペースで走っているような環境に、この現世は近いのではないでしょうか。
 
年収や学歴や知名度みたいに一律の軸で他人と比較して自分はどうだとか考えるのって、日曜日のトラックで、何を目指して何メートル走ろうとしているかも分からない隣のレーンの人に追い抜かれ、自分の目的を忘れて焦るのに似ていますね。
我々は皆一人で産まれて一人で死んでゆくので、最初から競争なんかしていないです。

店の樹の生え方からエラい所まで話を広げてしまいましたが、長くなるので(なってるわ!)このヘンにしておきましょう。

結論は、とにかく人が本当に癒されようと思ったら植物!ということです。
 
「人は土を離れては生きてゆけないの!」と、ラピュタの少女が半泣きで言ってましたが、確かその人々を支えていたのも植物だったという話でしたね。
コンクリートの上に住まう我々にとっての植物の存在も似たような所があります。

でも幸い我々は皆、まだ豊かな自然を持っていて、いつでもそれを楽しむことが出来ますね。
東京だって外に出れば、もう誰それの家の樹とか関係なく緑を楽しむことが出来ます。
誰でも地球を所有して大自然を持っているんですね。
 
「じゃあ、アール座に行かなくても良いじゃん」と言われてしまうと、うーん…そうか、そうですね…。
でも…まぁそうですね…まぁ、でも、遊びに来て下さい。
 
もう、何のブログだ…。
アール座開店直前の植物達
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アール座 メニューの話

2012.03.05 Monday 01:01
こんにちは。
梅も咲いて、そろそろ暖かくなって来る頃でしょうか。
日替わりで雪が降ったりぽかぽか陽気だったり、毎年この時期は服装も室温調整も難しいです。

それにしても、毎年ちゃんと三寒四温とかになりますね。
地球偉いですね。

環境の話では悪い情報をよく耳にするので、もう地球の気候ってぶっ壊れてるんじゃないかという気にまでなりますが、こうしてブログで時候の話をする度に 気にしていると、これでもちゃんと季節が巡っているんだと安心します。

さて今月はあまりネタもないので、今さらですがメニューについてのお話でもしてみます。
そう言えば、いつもあまり触れないですよね。

アール座は空間を楽しんで頂くための場所ですが、お代をドリンクで頂く喫茶店の体で営業している以上は、もちろんドリンクにもこだわっております。

アール座のお飲物って少し変わり種というか、個性的なモノが多いですよね。

日常を断ち切って頂くことを目的としているアール座では、どこにでもあるありきたりな要素を極力抑えてありまして、メニューもその例外ではありません。

最初から「ブレンド」とか「コーラ」と決めるより、是非メニューを開いて「何だろうコレ?どんな味かな?今自分はどんな味がいいかな?」と考えて、新 しいドリンクとの出会いを楽しんで頂けたらと思います。

ちなみにアール座はオーダーのタイミングもかなり自由が効きますので、後でオーダーしたいのに先にこちらから伺ってしまった場合は遠慮なく言って下さいね。

そんな当店のコーヒーメニューはご存知ブルボン(ブラジル)、マタリ、キリマンという、それぞれ南米、中東、アフリカを代表する個性の際立ったストレー ト(他種と混合しない単一豆)3種で、どれも強い輪郭を持った味わいと香りが素晴らしいです(詳しくはメニュー参照)。

高校生の頃は大人ぶってコーヒー通を気取り、喫茶店のマネをして部屋に豆を数種類そろえては、友達が来るとしたり顔に特徴を説明し、好きなカップと一緒 に選ばせたりして嫌がられていました(今で言うウザキャラですね)が、その時常備していた最強3銃士が、マタリ、キリマン、マンデリンでした(開店当初はマンデリンも置いてたんです)。

いずれも昔からあるスタンダード品種ですが、当時は今と違って、手に入る豆の産地や銘柄は限られていました。
今主流の洗練された味わいや酸味の少ない深煎り豆、味を整えるブレンドにあまり惹かれない自分にとっては、無数の品種が流通するようになった今でも、結局プリミティブな個性の強いこの3種がお気に入りです。

そして、その後魅惑のブルボンに出会いました。
ちなみにウチでも一番人気のこの下坂農場ボルボンは、悲しい事に現地での生産が終わってしまい、在庫がなくなり次第終了と言う事態になってしまっています(涙)。

本当はコーヒー専門店みたいに、ストレートを2、30種類くらいそろえるのも夢なのですが、ウチのようにメニュー数の多い小さな店では鮮度が問題になって来るので、コレくらいが程よい所かと思っています。

抽出については店それぞれに、お湯の注ぎ方やコース、スピードに関して「こうでなければ」という強いこだわりがあるようですが、僕はどんなやり方でも一定の方法を長く続けることこそが大事だと思っています。

一つの方法を反復していると、その時々の善し悪しがよく見えて、何というか、方法を修正したり経験をカンにすることがスムーズになる気がします。

ただ、唯一僕だけの秘訣もあるにはあります。

砕いたコーヒー豆を顕微鏡で見ると、穴ぼこだらけのハニカム構造になっているのですが、この穴の内壁にコーヒーエキスの美味しい成分がへばりついているらしいんです。

ドリップ式では雑味や渋みと呼ばれる成分を上層部の泡の中に浮かせたまま、いかにこの美味な成分だけをウマく流し落とすかが抽出の善し悪しになるわけなのですが、ここからが秘訣で、僕はゆっくりとお湯を注ぎながら、壁からこの成分がキレイにこそげ落ちている拡大画像を頭の中で一生懸命強く思い浮かべます。

さらに液体が落ちるサーバーに左手をかざし、まる〜い味になるよう「う〜ん」て気を送ったりします(実話)。

相変わらず怪しい男です。
サイキック・コーヒーマエストロと呼んで下さい。

バカなこと言ってますが、昔なんかの映画(忘れました)で、登場人物のフィンランド人マスターがコーヒーを入れる時に必ずある言葉(忘れました) を言っておまじないをかけるのですが「本当だ!味が丸くなる!」と皆で驚くようなくだりがありました。 

最初はこんなこと店でやってるヤツ他にいないだろうと思っていたのですが、意外に似たようなことをやる料理人の話を聞いたりもします。

確かに料理って本当にそういう所ありますね。
イメージを持って意識を向けると 微妙な加減を体が勝手にやってくれるということなのか、確かにイメージに近づいちゃうことがあります。

なるべく正確で細かいイメージを強く持つこと、気を送るには力を入れるより、むしろ抜くような感じでふわーっとやるのがコツだそう(気功の本によると)です。
料理全般に万能の技ですので、是非皆様もダマされたつもりで「う〜ん」てやってみて下さい。
効かなくてもヒマつぶしになります。

ちなみにコーヒーの最も新鮮なアロマ(芳香)は、煎れてから秒単位で空気中に逃げていってしまうので、お出ししたら本棚に行く前に先ず一口でも良いので味わってみて下さいね。
ミルクで飲まれる方も、試しに最初の一口だけでもブラックで味わって頂けると新しい世界が開けるかもですよ。

コーヒーだけでこんなに書いてしまいましたが、次は紅茶ですね。
コーヒーではあれだけストレートと言っておきながら、紅茶の方はフレーバーティーばかりです。

仕入れているものは主にフランスのブレンド紅茶なのですが、茶葉の銘柄を楽しむ英国に対して、仏国で紅茶といえばフレーバーティーがメインになるんだそうです。

目の覚めるような鮮やかな香りは「際立つ個性で気分を変える」というアール座メニューのコンセプトを貫く上でもふさわしいかと思いました。
優れた感性のティーブレンダーが作った名作の数々をお楽しみ下さい。

ただ今後は、しっとりと落ち着く単一銘柄を入れても良いかなとも思っています。
未定の話ですが、アッサムやウバの本当に美味しいものは本っ当に美味しいですしね。
どうしようかな…。

ちなみに紅茶におつけするミルクですが、こちらでお勧めする組み合わせの時のみお伺いしておりますが、その他の紅茶にも合わせたい方は遠慮なく言って下さいね。

ロイヤルミルクティーがお好きな方には、疲れた心を癒すキャラメルミルクティーもオススメです。

ファンの多いメニューで、古い常連様にもこればかりもう100杯くらい飲んでるんじゃないかというジャンキーさん(笑)もいらっしゃる人気メニューですが、実はもともとキャラメルバニラ用として仕入れて使えなかった茶葉を消費するために、苦し紛れで考えた期間限定メニューが思いの他好評で、スタンダードに格上げしたものです。

他にアール座にはクセのあるメニューも多いですね。

ガーワなどはその代表格でしょうか。
中東アラブ諸国はこれで客人をもてなす習慣があり、入れるカルダモンの数が多い程その客人は歓迎されているんだそうです。
ちなみにアール座は一つですが、これはあくまでテイスト上の問題です。
香り高いスパイスがコーヒーのアロマに良くなじんで、面白い風味です。

クセという程でもないですが、カルダモンココアも同じタイプの個性ですね。
ただのココアを出すというのも何だか気が引けた(?)ので、試行錯誤して作ってみました。
ホットミルクドリンクでは、キャラメルミルクティー、アールグレイショコラと並ぶ3大人気メニューです。

ハマる方も多い乳茶は、モンゴルの人がパオの中で飲む飲み物が元になっていますが、それとは結構別物(もっと塩味でバター茶みたいな感じ)です。
うちのは甘いソフトドリンク仕様というか、ほぼオリジナルの味付けで、モンゴルでも飲めません!?

クセという程でもありませんが八宝茶も珍しいメニューかと思います。
薬膳ぽい味わいは体に美味しくてオススメ。
僕は開店前に飲んだりしてます。

クセものの王者はご存知ラプサンスーチョンでしょう。
初めて飲んだ時には、その品の良い独特の香りに感動しました。

これを置くか考えた時「世間では僕のように正露丸の香りが好きという変な味覚の人がきっとクラスに一人くらいいて、アール座はそんな人の比率が外より濃いので20人に1人位か…これで他店にはないメニューだから…うん、イケる」という何のリサーチも根拠もない当てずっぽうデータで決めました
が、結果的に店でラプサンも飲まれる方の割合がこの数値とほぼ当たっていて、ちょっと笑いました。

あまあまのスパイス・キャラメルやスパイス・チャイなんかもある意味個性的な味と言って良いかもですね。

チャイは本場インドの味に近づけてありますが、実際はこんなもんじゃないです。
若い頃北インドを旅した時には行く先々でこれを売り歩いている人がいて、最初は「あんまっ!何これ!」と思ったのですが、その内このスパイスの利いた強い甘さがクセになり、日本のカフェで飲むチャイにパンチが足りなく感じるようになってしまいました。

少し前まで池ノ上にこのレベルのチャイを出すカフェがありました(多分今は閉店)。
ウチにはそこまでいく勇気がありませんでしたが、ガムシロみたいにとろっとする程の激甘チャイで見事でした。

スパイスキャラメルは強い甘さを求めて作ったオリジナルドリンクですが、塩が利いている分さらに甘さが立ちますね。

所で時々自分で試すのですが、これにエスプレッソショットを適量加えると、甘さも程よく香ばしくなって、なかなかバランスの良いい味になります。

メニューとして出すには原価と手間がかかりすぎるので難しい所なのですが、でも美味しいので試しに今月のみの裏メニューにしてみますね。

ワンショット・スパイスキャラメル 850円

多少お値段がいってしまいますが、興味のある方は3月中の忙しくない時に言ってみて下さい。土日等、オーダーが詰まっていると難しいかもです。スミマセン。

また、ご存知かと思いますが当店では、ドリンクの甘さは大抵調整出来ます。
キャラメルはやや甘、チャイは無糖にまで落とせますので、ご希望の方はお聞き下さい。

さて、アール座と言えば食べ物が少ない喫茶店として有名(!?)ですね。

店のコンセプトを考えると、人の気を上げる「食」という要素はあまり入れるべきでないとの事情から、極力食べ物メニューを減らしております。

で、さらに以前僕の妻が仕事の空き時間に作ってくれていた唯一の手作りスイーツだったカトル・カールが、今彼女の方の諸事情によりストップしてしまっているので、お茶請けはクッキーとブラウニーだけという寂しいことになっております。

誠に申し訳ございません(土下座)。
でも、少し待ってて下さいね。

この春から色々状況が変わりそうなので、ゆくゆくはドリンクに添えるお茶請けメニューも、気が高ぶらない範囲でもう少し増やせたらと思っています。
多分…。

そう言えば、以前ブログで「その内氷コップを使用したアイスデザートを出そうかと思ってます」とかほざいたのはもう一昨年の話でしたかね。

本人はもう、すっかり忘れていました!
それでは!
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冬の空気とまどみちお

2012.02.04 Saturday 00:27
 「皆様、明けましておめでとうございます」…ってもう2月ですね…って、去年もこれやりましたね。

ただでさえのろま更新の上にこの所少々バタついてしまい、こんな時期に新年のご挨拶ですが、本年も変わらぬおつきあいをどうぞよろしくお願い致します。

相変わらずヒドい時節感覚ですが、外はしっかりと冬ですね。
何か今年の冬はちゃんと寒いです。
東京にも乾いた冷たい風が吹いて雪もちらついたりして、冬っぽい感じです。

冬場はいつも朝(昼近くですが)シャッターを開けて店に入ると、暗い室内で空気がヒンヤリと気持ち良いです。

全国的には色々と大変なことも多い寒波の冬ですが、良い所を上げるなら、水道水や空気が冷たいというのは個人的に冬の好きな所です。

冷たい水や空気って、きれいに澄んでいて、静かで落ち着いた感じがします。
温度が低いというのは物理的にも分子の活動(振動)が静まっているということだし、低温の空気中では微生物の活動だって控え目になります。

もしかしたら人間の感覚ってそんな所まで感じとっているのかも、とか思ってしまいます。

だから寒い日は静かな物音に耳をすませたりするには良いですね。

僕がアール座のテーマ曲と勝手に思っているエリック・サティのジムノペディがBGMのレパートリーに入っておりまして、お好きな方もとても多い名作かと思いますが、開店前のまだ冷たい空気の中でこれをかけるとなかなかハマります。

音数の少ない神秘的な旋律の中では全てのことが意味を失い、開店作業中にも関わらず、店おっぽり出してこのまま旅に出ようか、とかいう気になっちゃいます。

まぁ出る度胸はありませんが、様々な迷いごとや情報が心を離れて、何だか気持ちがスッキリとします。

ずっとそんなシンプルな心境で生きていけたらいいなぁと思います。
こうした冬の静かな空気の中にいると、日頃自分がどれだけムダな情報や知識に振り回されて暮らしているか気づきますね。

読書室を営業し、ブログまで書いておいてこんなこと言うのもなんですが、思えば我々現代人はただでさえアタマの中に多くの悩みを持っている上に、TVやネット、書物や人とのコミュニケーションから侵入して来る、ちょっと異常な量の情報に囲まれて生きているんですね。

特に人の神経を引こうとする新しい情報には感情をあおるものが多く、中毒性もあって、心の中をザワつかせるばかりです。

冬の朝にサティとか聞いてると、読書好きの僕ですら「モノを知る」ということが、何だかロクでもないことのように思えて来ます。

そんな気分の時は情報収集や他人とのコミュニケーションを一時シャットアウトして、一人の時間を作ってゆっくりと辺りを見渡してみると、なかなか素晴らしいことが起こります。

大昔から普通に周りにある物事が、流布している奇抜な情報に覆い隠されていたことが見えてくるんですね。

豊かな空気があり、透明な水があり、日の光が射し、路端に草が生えていて、美味しい食べ物と衣服、夜眠れる場所があり、それを知る感覚があり、それを感じる心があって…と、数え上げたらきりがない恵みにじぶんが囲まれていて「もうこれ以上何もいらないし、何も知らなくていいな」という気分になったりします。

大抵僕のこんな気分はいつもただの気まぐれで、すぐにまた色々欲しくなるに決まっているのですが、恵みに囲まれていることをちゃんと見続けることが出来れば(境遇によっては簡単なことではありませんが)、きっと人はどんな状況の中でも幸せになれるんじゃないかと思えて来ます。

それが出来なければ、何不自由ないお金持ちの王様でも幸せになれないのではないでしょうか。

最近はそんなことを思いつつ、もっとシンプルに生きてゆけたらと願うようになりました。
本当に必要な知識ってそんなに沢山はなさそうだし、そういう心持ちで暮らしていると、必要な情報だけが向こうから飛び込んで来る気もします。

詩人まどみちおは齢100歳になるよぼよぼのじいさんですが、散歩の途中に道端で見かけるような恵みや驚きを、稲妻のような感受性で切り出して、我々に提示し続けてくれる達人です。

元々童謡の作詞家なので、幼児向けのリズミカルな言葉遊びっぽい作品が多く、大抵やさしい言葉で綴られていますが、はっとさせられるような発見やこの宇宙の謎を解き明かすような言葉、一撃で人生観を変える力強い啓示に満ちていてすごいです。

説明しても分かりにくいので、一つだけここに上げておきましょう。

「根」

ない

今が今 これらの草や木を
草として
木として
こんなに栄えさせてくれている
その肝心なものの姿が

どうして ないのだろう
と 気がつくこともできないほどに
あっけらかんと

こんなにして消えているのか
人間の視界からは
いつも肝心かなめのものが


ね。すごいですよね。
とても真摯な姿勢で世界を見ながら生きてるんです。

そんな素敵な詩人の全詩集(735ページ!)、他エッセイ2冊を書棚の左から3列目、上から3段目、詩集のボックスに、新入荷しましたので、興味のある方は是非触れてみて下さい。
心が洗われますよ。


さて、現在店内ギャラリーコーナーにはコラージュ作品&アクセサリーが飾られています。
故人の魂を送り出すレクイエムをテーマに、ヨーロピアン・アンティークの装飾品やそれらを題材にしたコラージュ作品、オリジナルアクセサリーなどを展示中。

Requiem 知紅個展
現在展示中〜2/14(火)まで

箱の中に時間を閉じ込めたような厳かな雰囲気の作品が目を引きます。
是非お茶を飲みがてら、静かな鎮魂歌と古い異国の空気をご覧になって下さい。
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今年もお世話になりました。 2011

2011.12.30 Friday 00:24

さて、2011年も残す所あと数日です。

今年も本当に沢山の方にご来店頂きました。
ご来店頂いた全ての皆様に、心より御礼申し上げます。

毎年末に同じ感謝の言葉を繰り返すとくどいのですが、結局今年も同じ思いです。

精神的にも経済的にも、皆様のおかげで生きております。

また、今年後半の一時期は土日のピークタイム(15時前後)などに混雑が続いてしまい、ご迷惑をおかけしてしまった期間もありました。

ちょっと珍しいタイプの店なので、雑誌やサイトでの掲載が幾つか重なったりした時期には一時店内が混みあい、若干カフェ寄りの雰囲気になってしまう時がままありますが、でもいつもそれは一過性のものでして、なんだかんだ言っても指向性がマイノリティですので、時期が過ぎると古くからのお客様と同じように感覚の合う少数の新しいお客様だけが残られて、また静かなアール座に戻ってゆくというのがいつものパターンです。

今ではすっかりおさまりましたが、古いお客様には「隠れ家的なアール座が…」と複雑な思いになる方もあったかも知れませんね。

よく「あまり人に教えたくない」「本当に分かる人にだけ教えたい」といったお客様のご意見をお聞きする度にも、僕はとても嬉しく思います。

この店の空気をご理解頂き、大切に思って下さる方ならではのご感想だと思うからです。

僕自身「マニアックなお店」も「全ての人に愛されるお店」も、全く目指してはおりません。

難しい所なのですが、アール座読書館としては、ある種の趣味の人しか入りづらいカフェであってはならないし、気持ちの切り替えや何の引っかかりもなく日常の延長として通り過ぎる普通の喫茶店ではしょうがないとも思っています。

老若男女や趣味を問わず、日常を切ることを必要としている全ての方にとって「最初入りづらいけど、意を決して踏み込んだら自分のための場所だった」というお店でありたいです。

幸いウチの場合はご紹介下さる雑誌やサイトの皆様が店の空気をご理解頂きそれを上手に伝えて下さる方ばかりで、とても助かっております。

指向性の強いお店なので、存続のためにより広い地域の多くの方にその存在を知ってもらう必要もあり、そんな方々には大変な恩恵と感謝も感じております。

「別にこっちは何も言ってないのに、コイツ急に色々言いワケがましくなってどうした?」と思われそうですね。

よく個性的な飲食店が人気が出てからフツーになったと言われるようなケースがありますが、そんな変化をわずかですが感じた時があって、ちょっと色々考えたん時期があったんですね。

こんな小さな店でもポピュラリティがついて来てお客様の層が広がると、ただ欲が出るというのでなく、何だか強力な力でそっち(ポピュラーな飲食店の方 向)に持って行かれる感じがする時があるんです。

マジョリティの威力なのか、それとも経済が持つ力なんでしょうか。

もしかすると人間は群れを作る動物だから、僕のようなひねくれでも、周りに合わせたくなる習性を本能的に持っているということなのかも知れませんね。

まぁ実際ウチなんかはそれ程でもないですが、もっと「今マスコミで話題の…」みたいなレベルになると、きっと独自の路線を行こうとするお店が受ける横風 はかなりスゴいんだろうなぁ、と感じました。

また個人的にも今年は何かにつけて度々ペースが乱れてしまい、私生活でも営業でも不出来なところが多く、振り返るとかなり反省の多い年でした(泣)。

しかし今ではすっかり一時期の混雑は収まりましたし、年を改めるタイミングで気持ちを切り替えてゆくつもりです。

とにかくあのらくがき帳のありがたいお言葉を頂いたからには、何があってもこの方向性と空気感は死守する心持ちですので、古いお客様も新しいお客様も、今後とも今まで同様どうぞよろしくお願い致します。

もちろん絶え間なく通い続けて下さいという話ではないですよ。

時々久しぶりにいらした常連さんが「最近忙しくて、なかなかここに来られなくて…」と、申しワケなさそうに言って下さることもありますが、うちのような
店は疲れた時や何かに迷った時に使われる方も多い場所なので、私生活が充実されていてアール座に行く必要がないという状況ならば、それは何よりなんです。

ふと立ち止まって静かな場所が必要になった時にはアール座読書館がいつでも同じ形でここにあり続けますので、覚えておいて頂けると嬉しいです。


今年日本は不幸な災害に見舞われましたが、東京に住んでいても、それが国民全体の価値観を揺るがすような出来事だったことを感じます。

軽々しく言えることではありませんが、惨劇を超えて人々が社会の実態や足下の生活と幸せに目を向けるような機会に、更にはそれが日本の転機のような形になって行くといいなと思います。

今中国が勢いよく景気を上げておりますが、僕が子供の頃は日本の高度経済成長が成就した位の時期で、日本人はエコノミックアニマルとかワーカホリックとか呼ばれ、世界中から嫌われていました。

時々、もしアール座を高度成長〜バブル期のような時代に開業していたら、果たして相手にしてもらえたろうかと思ったりします。

僕が育って来た「アラフォー」とか呼ばれる世代までの社会では、何においても経済やステイタスが価値の中心になり、人々は快楽と競争にばかり夢中で、身の周りの小さなことや自分が恵まれていることに見向きもしない時代でした。

僕なんかは周囲の人と話や価値観が合うことが基本的になくて、人と考えを理解し合うことをほとんどあきらめていたようなヤツでしたが、僕らより下の世代の人達は、あのアホ騒ぎを冷めた目で見て育ったからでしょうか、こうしたことを理解されている方が比較的多い気がします。

特にアール座のらくがき帳なんか見ると、身近にあるものの美しさ、小さなこと無駄なことの大切さ、自分が幸せを手にしていること、誠実さが人生を好転させることなんかを普通に知っている方が沢山いらして、心が洗われます。

今思えば、昔の自分は本音を出さずに適当に相手に合わせていたから気持ちの合う人に出会えなかったのかなとか、この店は本当の自分で作ったから、そういう人達が来てくれたのかなとか思ったりします。

アール座はもちろん様々な目的にご利用頂いて良い空間ですが、そのコンセプトを考えると「やらなくても良いこと」をして頂くのは個人的にとても嬉しいです。

読書やらくがきや編みもの、折り紙(地球儀の座席にあります)、ただぼーっと魚見たり、ただぼーっとしたりされてる方が店内に多くいらっしゃる時は、なんだかとても安心します。

現代社会を考える時には、社会問題に注目し、憂いと共に批判的に考えないとイケナイような空気が何となくありますが、僕はそんな人々の価値観の変遷を見て、問題点は置いといて、「日本は割とイイ感じになって来てるなぁ」とノンキに感じたりします。

日本全体がこの部屋みたいな空気になれば良いのに、とまで思ってしまいます。

きっと、かくいう私が自身が仕事に追われていたから、そんな気持ちも強くなるのでしょう。

もちろんそんなことのためにはある程度の豊かさが必要なことなので、労働や経済の重要性、高度成長期を支えてくれた人々への感謝も忘れてはいけませんね。

相変わらず僕の妄言は根拠もキリもありませんが、今年は震災や中国バブルを見て、アール座のお客さんを見て、そんなことを考えたりしました。

さて来年はどんな一年になるんでしょうね。

僕は個人的に転機になりそうなので、精力的に行くべきかじっくり進むべきか悩んでいます。

「光陰矢の如し」とか「果報は寝て待て」とか、昔の人達は無責任に色々言うので困りまってしまいますが、どんな形にせよ気持ちを込めた一年にしてゆかなければ、と感じている次第です。

皆様の一年はいかがだったでしょうか?

来年はどんな一年を思い描いておられるのでしょうか?

また来年お店でお会い出来たら嬉しいです。

それでは皆様良いお年を。

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アール座読書館 貸切りについて

2011.12.28 Wednesday 18:17

<店内貸切り>
イベント、勉強会、朗読会、発表会、撮影等様々な目的にご利用下さい 。
大掛かりな座席の移動が出来ませんので、ほとんどの座席が前を向く形になります。

◎定員1〜20人程度まで(それ以上はご相談下さい)。
◎大音量のBGM、生演奏は不可(ご相談下さい)。
◎お飲物等持ち込みが出来ます。 ドリンクのオーダーご希望の方はご相談下さい。
   
料金 

   12時〜17時 1時間/5500円 
  17時〜22時 1時間/6500円

 

※貸切可能な時間帯は12時及び13時から開始の貸切(それ以前開始の貸切に関しましてはご相談下さい)、 

 もしくは22時終了の貸切のいずれかとなります(時間外の貸切及び詳しい時間設定に関してはお尋ね下さい)。
基本的には土、日、祝日は貸切りを行っておりません(時間外応相談)。
※基本的に貸切利用は2時間以上でお願い致します(1時間の貸切は時間帯によっては対応いたしますのでご相談下さい)



一般のお客様に告知を致しますので、基本的に7日前までにご予約をお願いいたします。
急なお話の場合は、営業時間外や定休日のお時間、もしくは3階エセルの中庭の方でご相談に応じます(1時間6000円〜となります)。

その他詳細はアール座読書館までご連絡ください。 アール座読書館 03-3312-7941
エセルの中庭の貸切もアール座で承ります。 

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冬ごもりのすすめとギャラリーのお知らせ

2011.12.02 Friday 01:36
この所、外気が急激に冬の匂いになって来ました。

冬の入口は体が寒さに慣れていないせいか、真冬よりも屋内にこもりがちになってしまいますね。
あらゆる生物が息をひそめるこの季節には、アール座読書館も「おこもりスペース」としての雰囲気がぐっと強くなります。

僕自身、冬場は出不精になる分思考が活発になり、やたらと哲学的になったり、どうでもいい事を考えたりしてしまいます。

皆さんはどうなんでしょう。
他の生き物達もそうなんでしょうか。

クマなんかは知能が高いので、穴の中で丸まって冬ごもりしている時には、絶対色々妄想を巡らせていそうですよね。
「あの日捕った鮭は素晴らしかったなぁ」とか「兄弟達は元気かなぁ」と、丸まった冬眠状態のままうつろな意識で思い出したりするのでしょうか。

僕が理想とする冬の過ごし方のお手本が、このクマの冬ごもりのイメージです(勝手な想像上のイメージですが)。

「エサいない時に動き回るより、エネルギーを使わないで丸まっていた方がいいやぁー」というゆるい考え方は非常にムリもなく効率的で、元来怠け者だった僕もとても共感を覚えます。
もちろん我々は冬でも食物が手に入るのですが…やっぱ寒いし…動きたくないし…。

秋口に狩りをしまくり喰いまくってから完全に引きこもるという、ハードなアウトドア派から深いインドア指向への急激なライフスタイルの転換が素敵ですし、絵本に出て来るクマなんかはほら穴に美味しそうなごちそうを貯め込んで、布団敷いてるヤツまでいて憧れてしまいます。

クマやヤマネなど哺乳類の冬眠は疑似冬眠と言って、ヘビやカエルのように白目むいて(イメージ)仮死状態になる本格的なのと違うので、時々目を覚ましてはちょっと外を覗いて「うわ…寒いと思ったら雪積もってる…」みたいなことしてそうで(イメージ)、何かただ寝てるような感じがすごく羨ましいです。

夢とうつつの境目を何ヶ月もさまよい続けるのでしょう。
いいなぁー、疑似冬眠

毎年ニュースで流れる、村の寒中水泳大会で海に駆け込むフンドシ姿の勇ましい男達の映像を見ると「きっとこの村にも自分みたいなへなちょこがいて、参加せずに皆にバカにされているんだ…」と想像してしんみりする僕ですが、そんなへなちょこブログの今月のテーマはズバリ「冬ごもりのススメ」です。

…ってなんだそれ。
もうネタ切れなんでしょうか。
「冬眠とかすすめられても…」という戸惑いもごもっともですが、要はアール座的な正しい冬の過ごし方のご提案です。

では、喫茶店にこもって何をすれば良いのかと言うと、それはもちろんこの1年を振り返るんです。

毎年日本人が秋の終わりからハロウィン、クリスマス、年末、新年とめまぐるしくノリを切り替えてゆくのについてゆけずにぼーっと過ごしてしまう僕も、この「今年1年を振り返る」という恒例の習慣だけは結構やっています。

同じ恒例でも「今年の抱負」なんていうのは、たいがい春先にはすっかり記憶から消えているのであまり意味もありませんが、過ぎたことを思い返すのはその場で意識や感情に影響を与えるので有意義でもあります。

大事なのは、あまりシリアスな問題よりも先のクマのように割とどうでもいい平和なことや嬉しかったことをウトウトと思い返すのがコツです。

今年は日本に深刻な出来事がありましたので難しい所ですが、そういう記憶はウトウトと考えられることではありませんし、ネガティブな感情の復習になってしまう可能性もあるので、ここではどうにかして嬉しい出来事や軽い思い出に持ってゆきましょう。

心理療法ではその日あった良かったことや嬉しかったことを毎晩寝る前に思い返すよう習慣づけて、精神状態をポジティブに持って行くという方法があって、逆に寝床でその日の嫌なことや失敗、後悔について延々と考えてしまうタイプの人なんかにも効果的なようです。

また仏教では生涯を振り返る修行で「内観」というものを行います。
自分の幼い頃からの記憶を一つづつ思い返して、人にして来たことされて来たことを思い出しながら、そうして作られた現在の自分の本当の姿を見つめ直す所まで辿り着く、というような方法で、これも「内観療法」として治療に取り入れられています。

つーっと通り過ぎてきた過去を改めて振り返り、静かに見つめ直し噛み砕くことには、きっと人生をより丁寧にやり直すような意味がある気がします。

まぁオススメしているのはそんな専門的な話ではなくて、ただ時間をゆったりと過ごすための方法なのですが、やはり悪いことをわざわざ思い返すのは体にも良くないので、そんなひと時には、夏の暮れに憧れの人と砂浜で水をかけ合いたわむれた思い出なんかをリプレイしつつ、一人でニヤけたり軽く一人ごちたりする方が良いでしょう。

こういうことを表参道のオープンカフェでやると道ゆく人から白い目で見られてしまいますが、その点アール座なら心配ありません。
皆さんそれぞれの時間を過ごされているので、多少挙動不審な方がいらしてもあまり気にされない空気がありますし、他の座席の方と目線も合いませんし、店主はもちろんお客様もそんな人ばっかりですウソですごめんなさい

こういうことをするには、ウチだとやはり窓際のボックス型のお席がおすすめ。
常連樣方の隠れた人気席である窓際前から3番目とかは周囲を小さく囲まれていて、まさにおこもりスポットNo1でもあります。

子供の頃、押し入れやダンボール箱の中で過ごす時間をこよなく愛していた僕は、この席が人気という事実がとても嬉しいです。ちなみに、この心理は昔の胎内記憶から来るという説があるらしいです。

最近、週末のピークタイム(14時〜16時頃)などは混雑のためお席が選べないことも多く心苦しいのですが、可能な方は遅い時間帯や平日など狙ってみて下さいね。

メニューですと甘みが恋しい冬場は、スパイスキャラメルやスパイスチャイなど定番の甘々ホットドリンク(甘み調整も可)、甘さ控えめならキャラメルミルクティーや八宝茶、ラムとアマレットリキュールを入れたコーヒーアマレット等、体暖まるホットドリンクがおすすめです。

糖分ではなく香りのみで甘さを楽しむには、冬に人気のキャラメルバニラティーもおすすめ。

冬場に甘いものが恋しくなるのも、きっと太古の狩猟生活で獲物の少ない冬場にカロリーを溜め込もうとする体のシステムなのでしょう。

とすると彼らも冬は、けっこう竪穴式住居とかにこもりがちだったんでしょうね。
人間は家族生活ですが、冬の間ずっと顔つき合わせてたのかな。
アレってきっと個室ないですよね。
思春期の子供とか、キツいですね…

などと延々ムダな事も考えてしまいましょう。
冬はそれでいいんです。
暖かい灯りの下で暖かなお飲物をすすりながら過去を振り返ったりムダな考えにふけるために、冬は来るんです。
そしてそんな時間を過ごすためにアール座があるんです。

小さなボックス席と静けさの漂う空間を冬のおこもりタイムにもぜひご利用下さい。

もちろん本当に人間がこもりっきりになると弱ってしまうので、冬の散歩や旅行も楽しみましょうね。

さてギャラリーのお知らせです。
今年ラストの個展はK.Kさんによる写真展です。

写真展「Ballet Mecanique」  K.K
期間:現在展示中 〜 12/25(日)

ファンタジックな少女の世界を切り抜いたポートレート作品展です。
古い洋書の切り抜きのような淡いトーンの作品を、幻想的なプリザーブドフラワーやリースで美しく飾り付けて頂きました。
アール座空間は女性的な感覚の装飾と相性が良いし、僕自身もそうした世界観に憧れがあるのですが、ただ自分ではそういう演出が上手に出来ないので、こんな風に飾り付けて頂けると僕も嬉しいです。
現在展示中で12/25(日)まで。2週目から展示変えがあります。
冬のアール座はガーリーな彩りの中でお楽しみ下さい。

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座禅とアール座の番人の話 

2011.10.27 Thursday 01:30
こんにちは。
やっと暑さが引いたと思ったら、急激に涼しくなってきましたね。

近頃の日本の気候では10月に入ってやっと夏が終わる感じなので、秋好きな僕は毎年お預けを食らっているような気分ですが、この季節は散歩や読書はもちろん、アール座にとってもベストシーズンと言って良いでしょう。

静かな時間を過ごすことや生活を見直すことにはうってつけの季節ですよね。
また、虫達の歌声も終わり空調もほとんど使わない今頃は、一年の中でもアール座が特に静けさを発揮(?)するシーズンでもあります。

こんな時期に、ちょっとオススメしてみたくなったのが「瞑想」です。

昔はよく、お寺でやってる一般参加の座禅会やヨガ教室の体験クラスなんかをハシゴしたりしました。
店を始めてからはお客さんがいない時に座席でやったりもしますが、お客さんに見つかったらとても怪しいマスターですね。

「瞑想」というとよくイメージされるのは、禅寺で座禅を組んで、気の緩んだヒトが和尚さんに「カーツ!」とかいって棒きれで肩をひっぱたかれてる厳しそうなヤツじゃないでしょうか。

近頃はヨガなんかで健康法のようにも親しまれていますが、こちらはむしろ気を緩めるようなイメージですね。
ただ、実際にやってみると、むしろ「気を鎮める」という表現が近い気がします。

瞑想を一口に言ってしまえば「何も考えないこと」です。
様々なタイプの瞑想法がありますが、雑に言うと基本的には座禅を組んで目を閉じて(もしくは半眼で)ゆっくりと深い呼吸をしながら考え事をやめ、浮かんで来る雑念を次々に消して行って、頭が真っ白な状態でいることを目指します。

何だそれだけのことか、と思いきや、これがなかなかカンタンじゃないんです。

僕などは妄想は大得意なのですが、瞑想はヘタッピな方じゃないかと思います。
思考を止めようとするそばから次々に色々な考えが浮かんでキリがありません。

禅の瞑想法に「数息観」というのがありまして、頭の中で「ひとーつ…ふたーつ…」とゆっくり数を数えながら瞑想を続け、少しでも雑念が浮かんだら1に戻って数え直し(そのまま数え続ける方法もあります)、10まで行ったらまた1から数え始める、というのをひたすら続ける方法なのですが、僕がこれをやると3まで辿り着けません(3まで行くと必ず「あ、3いけた!」って思っちゃいます)。

まぁ本当はいきなりこういう方法をクソ真面目にやらなくても、初心者は浮かんで来る邪念をボーッと見流してるだけでも良いそうです。
「邪念が浮かんでるなぁ」とか「雨の音が聞こえてる」とかを静かに意識出来るだけでも、普段と違う脳の働きをしているというのですが、確かにやってみるとそんな実感があります。

ではなぜそんなことをやるのかと聞かれれば色々な答えがありますが、僕なら先ず第一にとても気持ちがいいからと言ってしまいます。
ウマく出来ないながらもこれをしばらく続けたあとはアタマの中がスッキリと片付いて、非常に爽快な気分を得られるんです。
いつもごちゃごちゃに散らかった部屋を掃除してスッキリと整頓された後の感じに似ています。

仏教では純粋に直感的な悟りを獲得するための修行としてこれをしますが、現代人には精神的な健康法として有効なのは間違いないでしょう。

通勤電車の中ででも出来ますし、続けていると、日常的にも気持ちが安定して来たり、感覚豊かで意識もクリアになったり、思考と身体の一致が良くなったりなど、広く精神面で効用があるようです。

そしてこれは何よりも「思考を止めて日常を忘れ、感覚を開いて静かな時間を過ごすこと」(瞑想とは少し違いますが)をおすすめするアール座読書館のコンセプトともかなり重なる部分がある所なので、静かな秋にはいいんでないかとおすすめしてみました。

ただアール座には、控えめですがBGMが流れるのが難かもですが、瞑想がウマく行くと音楽などは消えてしまいますので、あまり気にせずやってみて下さい。

本を読む前に5分程やってみるだけでも、感受性がアップして読書の質が良くなりますよ。

お店には瞑想関連の書籍というものがあまり多くはありませんが、比較的近いジャンルのものをおすすめコーナーに置いておきます。

もしお座席で半目になってぼーっとしている方を見かけても、怪しまずに「あ、瞑想してるんだ」と温かく見守って上げて下さいね。

さて、これで終わるとまだちょっと短い感じですね、月イチブログとしては。

無駄話をもう一つしときましょう。
いつの頃からか店内中央の3本柱の一番後ろの柱の上に居ついて、店内を見下ろしている変な奴のお話です。

カモシカのような頭をした体長30cm程の大変怪しげな男で、普段は彫像のフリをしていますが開店前や閉店後の作業などしていると、突然ノビをしたりふいに話し掛けて来たりします。

顔こそ草食系ですが性格はかなりS寄りで、開店の掃除をしていると「こんな店いつまで続くと思ってんだ?」とか「段々仕事が雑になって来るな」とか皮肉を言ったり、閉店作業の最中に「あの客、お前の接客どう思ったろうな…」などとその日僕が気にしていることを蒸し返してきたりします。

そんな憎まれ口がほとんどで、あまり自分の事を話そうとはしないのですが、時々聞く身の上話によると、どうやら元は古い時代の兵士だった様です。
名はアルベルト・フォン・クライン。位は子爵で、ここに来る前にはファンタージェンという空想の世界で国王を魔物から守る近衛隊長の様な職についていましたが、大臣達とウマが合わずに「めんどくせぇ」と辞めてしまったそうです。

勝ち気な性格でナワバリ意識が強く、どうもこの店に入って来る気に入らない邪気を追い払ってくれているみたいで、はからずも店の魔除けの役割もしてくれているようです。

もともとウチの店内はご近所の長仙寺仁王門の鬼瓦さんが目を光らせる視界に入っていることもあって、そう簡単に悪いものは入って来れないのですが、ただ多少魔の血統が入っていそうな彼自身もこの鬼さんのことは少し警戒して、何となくバツが悪そうに目線をそらしているようですが…。

「こっから色んな人間を眺めてるのは割と飽きねぇ」と、柱に同化して毎日人間ウォッチングにふける無礼な彼ですが、なんせ邪気が嫌いな性質なので「最近何だかツイてない」というような方は彼のそばのお席に座ってみるのもいいかもです。
もし何か悪いモノがついてたら「何だお前」「お前こそなんだ」と勝手に喧嘩して、悪い気をぶった切ってくれるかも知れませんよ。

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秋の虫の音楽会2011とギャラリーのお知らせ

2011.09.10 Saturday 00:32
こんにちは。

次第に暑さも和らいで、ヒグラシの鳴く寂しげな夏の終わりです。
先日まで(初夏から夏にかけて)店内で元気よく鳴いていた去年のJr.の鈴虫達ですが、みな交尾を終え…無事全滅しました。

世間の鈴虫たちと比べると、卵のふ化から全てのタイミングが少し早くなってしまいたみたいですね( ̄_ ̄ i)

室内飼育で季節感がズレてしまったことが大きいのですが、実は彼らには悲しい性(さが)もあって、美しい歌声に引かれて無事にカップルが成立し後尾を終えた後には、そのままメスがオスを補食してしまうんですね。

カマキリのそんな話が有名ですが、きっとそれと同じ様に産卵前のメスがスペシャルな栄養素を取り込むということなのでしょう。

なので鈴虫飼育では、普通タイミングを見てオスとメスを分けたりするのですが、僕はそれよりも来年に向けて元気な卵を産んで欲しいので、オス達には自然の摂理に任せて潔く食われてもらうという方針(つまり分けない)で毎年行かせて頂いております。

結果、8月の後半に鳴き声は止んでしまい、ケースを開けるとメスばかりがワラワラと歩き回っているような状態でした。
何とも勇ましい肉食系女子達です。

オスの最期の一匹とか、普通ならハーレムと言える状態なんですが、彼らの場合はどんな心境になるんでしょうね。
せめて「自分の最期はどの娘に食われよう」という位の選択権はあるんでしょうか。
そんな状態でも、必死に鳴いてメスを呼ぶのだからこちらもスゴい男気です。
命がけの恋ですね。

まぁ全て僕が仕向けたようなもんですが、また来年に向けて丈夫な卵を産んでくれていればと願っております。

そんな訳で、Jr.スズムシ達は結局当初の予想通り例年の「虫の声イベント」シーズンにまではもたなかったので、スズムシ第2陣を新たに仕入れました。

同時におなじみのマツムシ、エンマコオロギも入荷しましたが、今年はそれに加えてさらにカンタンやカネタタキといった種類の虫も加えた豪華バージョンでいこうともくろんでいます。

今(9/9)もうすでに、夜の店内は数種類の虫の声に包まれています。
僕などはかなり幸せな気持ちになりますが、それにしたって秋の虫の声程気持ちを和ませてくれる音色が他にあるでしょうか。

もちろん、沢のせせらぎ、木々の葉擦れの音、森林の雨音など自然界の音には人の心を落ち着かせてくれるものが多くありますが、鑑賞に値する癒しの音色という意味で秋の虫の声に勝るモノはないでしょう。
また、一年の内のほんのひと時しか聞けない、という所もそれに価値を加えていますね。

秋が大好きな僕には、一年の季節の流れを最も実感させてくれるのが晩夏から秋にかけての時節の様に思えます。

その時自分の人生にどんなことが起こっていようとも、それとは全く関わりなく夜空が回り季節が巡ってゆくことは、何だか寂しいような無常観と心安らぐ不思議な安堵感を与えてくれますが、これをより強く感じさせてくれる秋を演出してくれるのが、儚くも優しい虫の声です。

日常を離れ心を休める絶好の季節である秋は、元々それを目的に作られたアール座読書館にとってもベストシーズンと言って良さそうですが、これを色付けるために毎年行っている「虫の声イベント」なんですね。

ちなみに虫の声は、日本ではきっと有史以前から人々の心を和ませて来た秋の風物詩ですが、実はこれを楽しめる(右脳で聞ける)のは日本人と中国人だけで、他の地域の人はあの美しいコオロギの鳴き声もノイズと感じてしまう(左脳で聞く)のだそうです。
感性の違いなのでしょうか、とにかく日本人独特の文化なんですね。

さて、今年で4回目となる「アール座 秋の音楽会」(今名付けた!)にて、素敵な音色を奏でてくれる楽団の小さなミュージシャン達をご紹介しましょう。

言わずもがなのスズムシは、やはり音色が絶品ですね。
誰もが知っている「リイィィィン…」という音色は単体ではもちろん、こうして多くの音色を同時に合わせる時にも、まとめ役として全体を美しく繋いでくれます。

マツムシは、一瞬小鳥かと思うような大きな声で鋭く「ピンッ ピリリッ」と鳴きます。毎年、この子達が断然目立ちますね。
アンサンブル全体を引き締め、緊張感を与えてくれます。

コオロギで最も美しい声と言われるエンマコオロギが発する、見た目に似合わぬ大変柔らかい「ヒョロロロ〜」という声は、僕の大好きな声です。
彼らとスズムシの二重奏が、このオーケストラの骨格になります。
特に今年のコオロギ達は非常に元気が良く、いつもより張りがあるし、数も多いのでサラウンドに配置してみました。

そして今年の目玉は、鳴く虫の女王とも呼ばれるカンタンという虫でしょうか。
虫達はそれぞれに声量が違うので、ケースの置き位置や防音措置などでそれを同レベルにそろえるのですが、今年はこのカンタンの儚げな声をフロントに配置出来たらとも考えています。
「リューリュー…」と、「幽玄を感じさせる音色」とまで言われる侘びの効いた繊細な声をお楽しみ下さい。

また小刻みな声で「キンッ キンッ」とアクセントを加えてくれるカネタタキは、毎年いらして頂いているお客様がご自宅の近所でわざわざ採集して持って来て頂いた、これも今年初登場のありがたい参加者です。
とても神経質な子達で、ずっと鳴き続けてる訳ではありませんが、ノッて来るととてもいい感じで鋭く音を刻んできます。

いずれにせよ今年は種類も多く、音量の調整も悩まされそうですが、きっと素敵な音楽を奏でてくれると思います。
そして彼らが特にノリの良い時間は、例のごとくBGMを切ってしまいます。

ちなみに、彼らが最も力強い音色で夢のような幻想的な音楽を奏でている時間帯は、悲しいかな照明の消えた閉店後なんです。
まぁ、自然の美しさですから人間が都合良く所有出来ないのは当たり前ですね。

皆がフルパワーで演奏出来るのはおそらく9月いっぱい位でしょうか。
やはり日暮れ以降の遅い時間の方が鳴き声は盛んで、日が進むにつれオスが食われて、音の厚みは少しづつ減って行きます(何というオーケストラ…)。

各お座席にはいつも通り、手作りの「虫の声鑑賞ガイドブック」を置いておきます。
種類ごとの解説や、秋の虫に関する日本の古い風習などまとめてありますので、興味のある方はこちらもご覧下さい。

これだけ美しい声の種だけを集めて一緒に聞ける機会というのは、自然環境でもかなり難しいでしょう。
ぜひお茶を飲みながら、ゆっくりと耳を傾けて様々に思いを巡らせて頂けたらと思います。

さて、9月のギャラリーのお知らせです。
秋の展示は彫刻家の春山恵美さんです。

春山恵美 個展
9月13日(火)〜25日(日)  

作家さんブログ→http://d.hatena.ne.jp/haru19870421/

アール座の展示スペースギリギリの大型オブジェやエッチングなど実にインパクトのある作品群は毒々しくも哲学的で、胎児のようで樹木のようで妖怪のようで女体のようで…何というか不思議な生命感の溢れる作品展です。

環境にも人体にも有害とされるFRPをメイン素材に制作された有機的で無機質な物体(生命体?)が、環境と生命の謎にダイナミックに迫ります。
何とも説明しづらいので、とにかくご覧下さい(笑)。
※ご観覧の方にはドリンクのご注文を頂く形になります。

カンタン
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