今年もお世話になりました。 2011

2011.12.30 Friday 00:24

さて、2011年も残す所あと数日です。

今年も本当に沢山の方にご来店頂きました。
ご来店頂いた全ての皆様に、心より御礼申し上げます。

毎年末に同じ感謝の言葉を繰り返すとくどいのですが、結局今年も同じ思いです。

精神的にも経済的にも、皆様のおかげで生きております。

また、今年後半の一時期は土日のピークタイム(15時前後)などに混雑が続いてしまい、ご迷惑をおかけしてしまった期間もありました。

ちょっと珍しいタイプの店なので、雑誌やサイトでの掲載が幾つか重なったりした時期には一時店内が混みあい、若干カフェ寄りの雰囲気になってしまう時がままありますが、でもいつもそれは一過性のものでして、なんだかんだ言っても指向性がマイノリティですので、時期が過ぎると古くからのお客様と同じように感覚の合う少数の新しいお客様だけが残られて、また静かなアール座に戻ってゆくというのがいつものパターンです。

今ではすっかりおさまりましたが、古いお客様には「隠れ家的なアール座が…」と複雑な思いになる方もあったかも知れませんね。

よく「あまり人に教えたくない」「本当に分かる人にだけ教えたい」といったお客様のご意見をお聞きする度にも、僕はとても嬉しく思います。

この店の空気をご理解頂き、大切に思って下さる方ならではのご感想だと思うからです。

僕自身「マニアックなお店」も「全ての人に愛されるお店」も、全く目指してはおりません。

難しい所なのですが、アール座読書館としては、ある種の趣味の人しか入りづらいカフェであってはならないし、気持ちの切り替えや何の引っかかりもなく日常の延長として通り過ぎる普通の喫茶店ではしょうがないとも思っています。

老若男女や趣味を問わず、日常を切ることを必要としている全ての方にとって「最初入りづらいけど、意を決して踏み込んだら自分のための場所だった」というお店でありたいです。

幸いウチの場合はご紹介下さる雑誌やサイトの皆様が店の空気をご理解頂きそれを上手に伝えて下さる方ばかりで、とても助かっております。

指向性の強いお店なので、存続のためにより広い地域の多くの方にその存在を知ってもらう必要もあり、そんな方々には大変な恩恵と感謝も感じております。

「別にこっちは何も言ってないのに、コイツ急に色々言いワケがましくなってどうした?」と思われそうですね。

よく個性的な飲食店が人気が出てからフツーになったと言われるようなケースがありますが、そんな変化をわずかですが感じた時があって、ちょっと色々考えたん時期があったんですね。

こんな小さな店でもポピュラリティがついて来てお客様の層が広がると、ただ欲が出るというのでなく、何だか強力な力でそっち(ポピュラーな飲食店の方 向)に持って行かれる感じがする時があるんです。

マジョリティの威力なのか、それとも経済が持つ力なんでしょうか。

もしかすると人間は群れを作る動物だから、僕のようなひねくれでも、周りに合わせたくなる習性を本能的に持っているということなのかも知れませんね。

まぁ実際ウチなんかはそれ程でもないですが、もっと「今マスコミで話題の…」みたいなレベルになると、きっと独自の路線を行こうとするお店が受ける横風 はかなりスゴいんだろうなぁ、と感じました。

また個人的にも今年は何かにつけて度々ペースが乱れてしまい、私生活でも営業でも不出来なところが多く、振り返るとかなり反省の多い年でした(泣)。

しかし今ではすっかり一時期の混雑は収まりましたし、年を改めるタイミングで気持ちを切り替えてゆくつもりです。

とにかくあのらくがき帳のありがたいお言葉を頂いたからには、何があってもこの方向性と空気感は死守する心持ちですので、古いお客様も新しいお客様も、今後とも今まで同様どうぞよろしくお願い致します。

もちろん絶え間なく通い続けて下さいという話ではないですよ。

時々久しぶりにいらした常連さんが「最近忙しくて、なかなかここに来られなくて…」と、申しワケなさそうに言って下さることもありますが、うちのような
店は疲れた時や何かに迷った時に使われる方も多い場所なので、私生活が充実されていてアール座に行く必要がないという状況ならば、それは何よりなんです。

ふと立ち止まって静かな場所が必要になった時にはアール座読書館がいつでも同じ形でここにあり続けますので、覚えておいて頂けると嬉しいです。


今年日本は不幸な災害に見舞われましたが、東京に住んでいても、それが国民全体の価値観を揺るがすような出来事だったことを感じます。

軽々しく言えることではありませんが、惨劇を超えて人々が社会の実態や足下の生活と幸せに目を向けるような機会に、更にはそれが日本の転機のような形になって行くといいなと思います。

今中国が勢いよく景気を上げておりますが、僕が子供の頃は日本の高度経済成長が成就した位の時期で、日本人はエコノミックアニマルとかワーカホリックとか呼ばれ、世界中から嫌われていました。

時々、もしアール座を高度成長〜バブル期のような時代に開業していたら、果たして相手にしてもらえたろうかと思ったりします。

僕が育って来た「アラフォー」とか呼ばれる世代までの社会では、何においても経済やステイタスが価値の中心になり、人々は快楽と競争にばかり夢中で、身の周りの小さなことや自分が恵まれていることに見向きもしない時代でした。

僕なんかは周囲の人と話や価値観が合うことが基本的になくて、人と考えを理解し合うことをほとんどあきらめていたようなヤツでしたが、僕らより下の世代の人達は、あのアホ騒ぎを冷めた目で見て育ったからでしょうか、こうしたことを理解されている方が比較的多い気がします。

特にアール座のらくがき帳なんか見ると、身近にあるものの美しさ、小さなこと無駄なことの大切さ、自分が幸せを手にしていること、誠実さが人生を好転させることなんかを普通に知っている方が沢山いらして、心が洗われます。

今思えば、昔の自分は本音を出さずに適当に相手に合わせていたから気持ちの合う人に出会えなかったのかなとか、この店は本当の自分で作ったから、そういう人達が来てくれたのかなとか思ったりします。

アール座はもちろん様々な目的にご利用頂いて良い空間ですが、そのコンセプトを考えると「やらなくても良いこと」をして頂くのは個人的にとても嬉しいです。

読書やらくがきや編みもの、折り紙(地球儀の座席にあります)、ただぼーっと魚見たり、ただぼーっとしたりされてる方が店内に多くいらっしゃる時は、なんだかとても安心します。

現代社会を考える時には、社会問題に注目し、憂いと共に批判的に考えないとイケナイような空気が何となくありますが、僕はそんな人々の価値観の変遷を見て、問題点は置いといて、「日本は割とイイ感じになって来てるなぁ」とノンキに感じたりします。

日本全体がこの部屋みたいな空気になれば良いのに、とまで思ってしまいます。

きっと、かくいう私が自身が仕事に追われていたから、そんな気持ちも強くなるのでしょう。

もちろんそんなことのためにはある程度の豊かさが必要なことなので、労働や経済の重要性、高度成長期を支えてくれた人々への感謝も忘れてはいけませんね。

相変わらず僕の妄言は根拠もキリもありませんが、今年は震災や中国バブルを見て、アール座のお客さんを見て、そんなことを考えたりしました。

さて来年はどんな一年になるんでしょうね。

僕は個人的に転機になりそうなので、精力的に行くべきかじっくり進むべきか悩んでいます。

「光陰矢の如し」とか「果報は寝て待て」とか、昔の人達は無責任に色々言うので困りまってしまいますが、どんな形にせよ気持ちを込めた一年にしてゆかなければ、と感じている次第です。

皆様の一年はいかがだったでしょうか?

来年はどんな一年を思い描いておられるのでしょうか?

また来年お店でお会い出来たら嬉しいです。

それでは皆様良いお年を。

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アール座読書館 貸切りについて

2011.12.28 Wednesday 18:17

<店内貸切り>
イベント、勉強会、朗読会、発表会、撮影等様々な目的にご利用下さい 。
大掛かりな座席の移動が出来ませんので、ほとんどの座席が前を向く形になります。

◎定員1〜20人程度まで(それ以上はご相談下さい)。
◎大音量のBGM、生演奏は不可(ご相談下さい)。
◎お飲物等持ち込みが出来ます。 ドリンクのオーダーご希望の方はご相談下さい。
   
料金 

   12時〜17時 1時間/5500円 
  17時〜22時 1時間/6500円

 

※貸切可能な時間帯は12時及び13時から開始の貸切(それ以前開始の貸切に関しましてはご相談下さい)、 

 もしくは22時終了の貸切のいずれかとなります(時間外の貸切及び詳しい時間設定に関してはお尋ね下さい)。
基本的には土、日、祝日は貸切りを行っておりません(時間外応相談)。
※基本的に貸切利用は2時間以上でお願い致します(1時間の貸切は時間帯によっては対応いたしますのでご相談下さい)



一般のお客様に告知を致しますので、基本的に7日前までにご予約をお願いいたします。
急なお話の場合は、営業時間外や定休日のお時間、もしくは3階エセルの中庭の方でご相談に応じます(1時間6000円〜となります)。

その他詳細はアール座読書館までご連絡ください。 アール座読書館 03-3312-7941
エセルの中庭の貸切もアール座で承ります。 

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冬ごもりのすすめとギャラリーのお知らせ

2011.12.02 Friday 01:36
この所、外気が急激に冬の匂いになって来ました。

冬の入口は体が寒さに慣れていないせいか、真冬よりも屋内にこもりがちになってしまいますね。
あらゆる生物が息をひそめるこの季節には、アール座読書館も「おこもりスペース」としての雰囲気がぐっと強くなります。

僕自身、冬場は出不精になる分思考が活発になり、やたらと哲学的になったり、どうでもいい事を考えたりしてしまいます。

皆さんはどうなんでしょう。
他の生き物達もそうなんでしょうか。

クマなんかは知能が高いので、穴の中で丸まって冬ごもりしている時には、絶対色々妄想を巡らせていそうですよね。
「あの日捕った鮭は素晴らしかったなぁ」とか「兄弟達は元気かなぁ」と、丸まった冬眠状態のままうつろな意識で思い出したりするのでしょうか。

僕が理想とする冬の過ごし方のお手本が、このクマの冬ごもりのイメージです(勝手な想像上のイメージですが)。

「エサいない時に動き回るより、エネルギーを使わないで丸まっていた方がいいやぁー」というゆるい考え方は非常にムリもなく効率的で、元来怠け者だった僕もとても共感を覚えます。
もちろん我々は冬でも食物が手に入るのですが…やっぱ寒いし…動きたくないし…。

秋口に狩りをしまくり喰いまくってから完全に引きこもるという、ハードなアウトドア派から深いインドア指向への急激なライフスタイルの転換が素敵ですし、絵本に出て来るクマなんかはほら穴に美味しそうなごちそうを貯め込んで、布団敷いてるヤツまでいて憧れてしまいます。

クマやヤマネなど哺乳類の冬眠は疑似冬眠と言って、ヘビやカエルのように白目むいて(イメージ)仮死状態になる本格的なのと違うので、時々目を覚ましてはちょっと外を覗いて「うわ…寒いと思ったら雪積もってる…」みたいなことしてそうで(イメージ)、何かただ寝てるような感じがすごく羨ましいです。

夢とうつつの境目を何ヶ月もさまよい続けるのでしょう。
いいなぁー、疑似冬眠

毎年ニュースで流れる、村の寒中水泳大会で海に駆け込むフンドシ姿の勇ましい男達の映像を見ると「きっとこの村にも自分みたいなへなちょこがいて、参加せずに皆にバカにされているんだ…」と想像してしんみりする僕ですが、そんなへなちょこブログの今月のテーマはズバリ「冬ごもりのススメ」です。

…ってなんだそれ。
もうネタ切れなんでしょうか。
「冬眠とかすすめられても…」という戸惑いもごもっともですが、要はアール座的な正しい冬の過ごし方のご提案です。

では、喫茶店にこもって何をすれば良いのかと言うと、それはもちろんこの1年を振り返るんです。

毎年日本人が秋の終わりからハロウィン、クリスマス、年末、新年とめまぐるしくノリを切り替えてゆくのについてゆけずにぼーっと過ごしてしまう僕も、この「今年1年を振り返る」という恒例の習慣だけは結構やっています。

同じ恒例でも「今年の抱負」なんていうのは、たいがい春先にはすっかり記憶から消えているのであまり意味もありませんが、過ぎたことを思い返すのはその場で意識や感情に影響を与えるので有意義でもあります。

大事なのは、あまりシリアスな問題よりも先のクマのように割とどうでもいい平和なことや嬉しかったことをウトウトと思い返すのがコツです。

今年は日本に深刻な出来事がありましたので難しい所ですが、そういう記憶はウトウトと考えられることではありませんし、ネガティブな感情の復習になってしまう可能性もあるので、ここではどうにかして嬉しい出来事や軽い思い出に持ってゆきましょう。

心理療法ではその日あった良かったことや嬉しかったことを毎晩寝る前に思い返すよう習慣づけて、精神状態をポジティブに持って行くという方法があって、逆に寝床でその日の嫌なことや失敗、後悔について延々と考えてしまうタイプの人なんかにも効果的なようです。

また仏教では生涯を振り返る修行で「内観」というものを行います。
自分の幼い頃からの記憶を一つづつ思い返して、人にして来たことされて来たことを思い出しながら、そうして作られた現在の自分の本当の姿を見つめ直す所まで辿り着く、というような方法で、これも「内観療法」として治療に取り入れられています。

つーっと通り過ぎてきた過去を改めて振り返り、静かに見つめ直し噛み砕くことには、きっと人生をより丁寧にやり直すような意味がある気がします。

まぁオススメしているのはそんな専門的な話ではなくて、ただ時間をゆったりと過ごすための方法なのですが、やはり悪いことをわざわざ思い返すのは体にも良くないので、そんなひと時には、夏の暮れに憧れの人と砂浜で水をかけ合いたわむれた思い出なんかをリプレイしつつ、一人でニヤけたり軽く一人ごちたりする方が良いでしょう。

こういうことを表参道のオープンカフェでやると道ゆく人から白い目で見られてしまいますが、その点アール座なら心配ありません。
皆さんそれぞれの時間を過ごされているので、多少挙動不審な方がいらしてもあまり気にされない空気がありますし、他の座席の方と目線も合いませんし、店主はもちろんお客様もそんな人ばっかりですウソですごめんなさい

こういうことをするには、ウチだとやはり窓際のボックス型のお席がおすすめ。
常連樣方の隠れた人気席である窓際前から3番目とかは周囲を小さく囲まれていて、まさにおこもりスポットNo1でもあります。

子供の頃、押し入れやダンボール箱の中で過ごす時間をこよなく愛していた僕は、この席が人気という事実がとても嬉しいです。ちなみに、この心理は昔の胎内記憶から来るという説があるらしいです。

最近、週末のピークタイム(14時〜16時頃)などは混雑のためお席が選べないことも多く心苦しいのですが、可能な方は遅い時間帯や平日など狙ってみて下さいね。

メニューですと甘みが恋しい冬場は、スパイスキャラメルやスパイスチャイなど定番の甘々ホットドリンク(甘み調整も可)、甘さ控えめならキャラメルミルクティーや八宝茶、ラムとアマレットリキュールを入れたコーヒーアマレット等、体暖まるホットドリンクがおすすめです。

糖分ではなく香りのみで甘さを楽しむには、冬に人気のキャラメルバニラティーもおすすめ。

冬場に甘いものが恋しくなるのも、きっと太古の狩猟生活で獲物の少ない冬場にカロリーを溜め込もうとする体のシステムなのでしょう。

とすると彼らも冬は、けっこう竪穴式住居とかにこもりがちだったんでしょうね。
人間は家族生活ですが、冬の間ずっと顔つき合わせてたのかな。
アレってきっと個室ないですよね。
思春期の子供とか、キツいですね…

などと延々ムダな事も考えてしまいましょう。
冬はそれでいいんです。
暖かい灯りの下で暖かなお飲物をすすりながら過去を振り返ったりムダな考えにふけるために、冬は来るんです。
そしてそんな時間を過ごすためにアール座があるんです。

小さなボックス席と静けさの漂う空間を冬のおこもりタイムにもぜひご利用下さい。

もちろん本当に人間がこもりっきりになると弱ってしまうので、冬の散歩や旅行も楽しみましょうね。

さてギャラリーのお知らせです。
今年ラストの個展はK.Kさんによる写真展です。

写真展「Ballet Mecanique」  K.K
期間:現在展示中 〜 12/25(日)

ファンタジックな少女の世界を切り抜いたポートレート作品展です。
古い洋書の切り抜きのような淡いトーンの作品を、幻想的なプリザーブドフラワーやリースで美しく飾り付けて頂きました。
アール座空間は女性的な感覚の装飾と相性が良いし、僕自身もそうした世界観に憧れがあるのですが、ただ自分ではそういう演出が上手に出来ないので、こんな風に飾り付けて頂けると僕も嬉しいです。
現在展示中で12/25(日)まで。2週目から展示変えがあります。
冬のアール座はガーリーな彩りの中でお楽しみ下さい。

category:2011 | by:アール座読書館 | - | - | -

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