座禅とアール座の番人の話 

2011.10.27 Thursday 01:30
こんにちは。
やっと暑さが引いたと思ったら、急激に涼しくなってきましたね。

近頃の日本の気候では10月に入ってやっと夏が終わる感じなので、秋好きな僕は毎年お預けを食らっているような気分ですが、この季節は散歩や読書はもちろん、アール座にとってもベストシーズンと言って良いでしょう。

静かな時間を過ごすことや生活を見直すことにはうってつけの季節ですよね。
また、虫達の歌声も終わり空調もほとんど使わない今頃は、一年の中でもアール座が特に静けさを発揮(?)するシーズンでもあります。

こんな時期に、ちょっとオススメしてみたくなったのが「瞑想」です。

昔はよく、お寺でやってる一般参加の座禅会やヨガ教室の体験クラスなんかをハシゴしたりしました。
店を始めてからはお客さんがいない時に座席でやったりもしますが、お客さんに見つかったらとても怪しいマスターですね。

「瞑想」というとよくイメージされるのは、禅寺で座禅を組んで、気の緩んだヒトが和尚さんに「カーツ!」とかいって棒きれで肩をひっぱたかれてる厳しそうなヤツじゃないでしょうか。

近頃はヨガなんかで健康法のようにも親しまれていますが、こちらはむしろ気を緩めるようなイメージですね。
ただ、実際にやってみると、むしろ「気を鎮める」という表現が近い気がします。

瞑想を一口に言ってしまえば「何も考えないこと」です。
様々なタイプの瞑想法がありますが、雑に言うと基本的には座禅を組んで目を閉じて(もしくは半眼で)ゆっくりと深い呼吸をしながら考え事をやめ、浮かんで来る雑念を次々に消して行って、頭が真っ白な状態でいることを目指します。

何だそれだけのことか、と思いきや、これがなかなかカンタンじゃないんです。

僕などは妄想は大得意なのですが、瞑想はヘタッピな方じゃないかと思います。
思考を止めようとするそばから次々に色々な考えが浮かんでキリがありません。

禅の瞑想法に「数息観」というのがありまして、頭の中で「ひとーつ…ふたーつ…」とゆっくり数を数えながら瞑想を続け、少しでも雑念が浮かんだら1に戻って数え直し(そのまま数え続ける方法もあります)、10まで行ったらまた1から数え始める、というのをひたすら続ける方法なのですが、僕がこれをやると3まで辿り着けません(3まで行くと必ず「あ、3いけた!」って思っちゃいます)。

まぁ本当はいきなりこういう方法をクソ真面目にやらなくても、初心者は浮かんで来る邪念をボーッと見流してるだけでも良いそうです。
「邪念が浮かんでるなぁ」とか「雨の音が聞こえてる」とかを静かに意識出来るだけでも、普段と違う脳の働きをしているというのですが、確かにやってみるとそんな実感があります。

ではなぜそんなことをやるのかと聞かれれば色々な答えがありますが、僕なら先ず第一にとても気持ちがいいからと言ってしまいます。
ウマく出来ないながらもこれをしばらく続けたあとはアタマの中がスッキリと片付いて、非常に爽快な気分を得られるんです。
いつもごちゃごちゃに散らかった部屋を掃除してスッキリと整頓された後の感じに似ています。

仏教では純粋に直感的な悟りを獲得するための修行としてこれをしますが、現代人には精神的な健康法として有効なのは間違いないでしょう。

通勤電車の中ででも出来ますし、続けていると、日常的にも気持ちが安定して来たり、感覚豊かで意識もクリアになったり、思考と身体の一致が良くなったりなど、広く精神面で効用があるようです。

そしてこれは何よりも「思考を止めて日常を忘れ、感覚を開いて静かな時間を過ごすこと」(瞑想とは少し違いますが)をおすすめするアール座読書館のコンセプトともかなり重なる部分がある所なので、静かな秋にはいいんでないかとおすすめしてみました。

ただアール座には、控えめですがBGMが流れるのが難かもですが、瞑想がウマく行くと音楽などは消えてしまいますので、あまり気にせずやってみて下さい。

本を読む前に5分程やってみるだけでも、感受性がアップして読書の質が良くなりますよ。

お店には瞑想関連の書籍というものがあまり多くはありませんが、比較的近いジャンルのものをおすすめコーナーに置いておきます。

もしお座席で半目になってぼーっとしている方を見かけても、怪しまずに「あ、瞑想してるんだ」と温かく見守って上げて下さいね。

さて、これで終わるとまだちょっと短い感じですね、月イチブログとしては。

無駄話をもう一つしときましょう。
いつの頃からか店内中央の3本柱の一番後ろの柱の上に居ついて、店内を見下ろしている変な奴のお話です。

カモシカのような頭をした体長30cm程の大変怪しげな男で、普段は彫像のフリをしていますが開店前や閉店後の作業などしていると、突然ノビをしたりふいに話し掛けて来たりします。

顔こそ草食系ですが性格はかなりS寄りで、開店の掃除をしていると「こんな店いつまで続くと思ってんだ?」とか「段々仕事が雑になって来るな」とか皮肉を言ったり、閉店作業の最中に「あの客、お前の接客どう思ったろうな…」などとその日僕が気にしていることを蒸し返してきたりします。

そんな憎まれ口がほとんどで、あまり自分の事を話そうとはしないのですが、時々聞く身の上話によると、どうやら元は古い時代の兵士だった様です。
名はアルベルト・フォン・クライン。位は子爵で、ここに来る前にはファンタージェンという空想の世界で国王を魔物から守る近衛隊長の様な職についていましたが、大臣達とウマが合わずに「めんどくせぇ」と辞めてしまったそうです。

勝ち気な性格でナワバリ意識が強く、どうもこの店に入って来る気に入らない邪気を追い払ってくれているみたいで、はからずも店の魔除けの役割もしてくれているようです。

もともとウチの店内はご近所の長仙寺仁王門の鬼瓦さんが目を光らせる視界に入っていることもあって、そう簡単に悪いものは入って来れないのですが、ただ多少魔の血統が入っていそうな彼自身もこの鬼さんのことは少し警戒して、何となくバツが悪そうに目線をそらしているようですが…。

「こっから色んな人間を眺めてるのは割と飽きねぇ」と、柱に同化して毎日人間ウォッチングにふける無礼な彼ですが、なんせ邪気が嫌いな性質なので「最近何だかツイてない」というような方は彼のそばのお席に座ってみるのもいいかもです。
もし何か悪いモノがついてたら「何だお前」「お前こそなんだ」と勝手に喧嘩して、悪い気をぶった切ってくれるかも知れませんよ。

category:2011 | by:アール座読書館 | - | - | -

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