子供の感性

2010.10.25 Monday 20:33
涼しい季節になりましたね。
今度はすぐに寒くなりそうなので、今の内に夜のお散歩など楽しんでおくと良いかもです.

この夏の凄まじい猛暑で窓の外の植物をあらかた枯らしてしまったダメな私ですが、そんな中でいつもは夏に咲く朝顔も当然一緒にダメにしてしまったと思い、あきらめて完全に忘れておりました。
所が、人知れず乾いた土の中でタイミングを見計らっていたのでしょうか、十月に入り暑さが終わった最初の雨で勢い良く発芽し、溜めていた生命力を爆発させて遅れを取り戻すかの様なスピードでにょきにょきと蔓を伸ばし、あっという間に大輪の花を咲かせてしまったのには驚きました。

種は水分を吸って発芽さえしなければいつまでも乾燥に耐えてくれるので、しばらく水をやらなかったのがかえって良かったのかも知れませんが、飼育栽培下であっても生物は全く自分の力で育っているんだなということを思い知らされた感じでした。

窓際の前から2番目のお席からよく見える、かわいらしい藤色の朝顔で、姉が米国から取り寄せた種を分けてもらって蒔いたのが毎年こぼれ種で勝手に生えてきます。
残念ながら今年の花はもう少なくなってしまいましたが、もしまたお店の花を見かけたら「がんばったねぇ」とか「よく咲いたなぁ」と心の中ででも褒めてやって頂けると嬉しいです。

さて、いきなりですが今月は子供の感性というものに触れてみたいと思います。

昔、岡本太郎の「太陽の塔」をモチーフにした子供の絵画コンクールで、審査委員長に任命された岡本が優秀作の選考を依頼された際、床に並べられた子供たちの作品を見ている内に興奮し鼻息が荒くなり「素晴らしい!みんないい!何が優秀作品だ!そんなもの選べるか!」と怒りだして収拾がつかなくなった、という話を聞いたことがあります。

さすがという感じのタロウさん的エピソードですが、確かに子供が表現する絵や文章は、どこか神々しいと思える程素直でのびやかなモノが多く、大人の創作とは異なるルートからひねり出された様に思えてしまいますよね。

人気絵本作家の荒井良二は大人ですが、あの人の作品と本物の子供の絵と、何が違うんでしょうかね?
僕はそこまで絵を見極められないのですが、TV番組で荒井さんの創作風景が映された時の「うーんだめだ!今考えちゃった!」などと言いながら描いたものにバッテンをつけていく様子からは、創作の過程から理性的な手順を排除してゆこうとする姿勢が見られ、やはり大なり小なり子供をお手本にしているようでした。

確かに、自分が子供の時に描いた絵を前にして「これと同じ感じの絵を描け」と今言われても難しいですよね。
他人の作品に感心するように「良い絵だなぁ」とか思ったりしますが、一体どうやってこんな風に描いたのかは見当もつきません。
感じ方も表現の仕方も全く覚えていないのが普通だと思います。

よく、3〜4歳児の半数位(だったかな?)の子は胎児の時や出産の時の記憶を割とはっきり持っていて「お腹の外からお父さんの声が聞こえてた」とか「外に出たらまぶしくて白い服の人にお湯に入れられた」とか説明出来ると言われます。
それ以降、その記憶が失われて行くそうですが、感覚を頼りに生きていた時期から自我を中心に理性でモノを考える様になる変わり目で多くの記憶が閉じられて行くんじゃないかな、と思ったりもします。

子供の頃の記憶、特に幼児期のものが思い出せないのは、夢のない例えですが、幼い頃と今とでは世界を感知して記憶するアプリケーションソフトが異なっているため、かつての感覚的なソフトで作られた記憶のデータは今の理性的なソフトでは開く事が出来ないからではないかという風にも感じられるのですが、どうなんでしょう。

思えば自分が幼い頃って、もっと世界が匂いとか濃い雰囲気に満ちていた気がするし、時々過去の記憶が蘇る時は決まってそんな懐かしい空気感ごと蘇ってくるのは、使われなくなったソフトが久しぶりに機能したからなんじゃないだろうか、という風にも思えます。

人は大人になると、生活の中でより多くの情報を処理してゆく能力を強いられるため、どうしても合理的な思想や言語的感覚に意識の前面を支配されてしまいますよね。
そこでは匂いや雰囲気よりも物事の意味が圧倒的に重要になってきます。
子供や他の動物の様に世界を肌で感じつつ暮らしていくような生き方はしていられなくなるのでしょうか。

しかし、そんな言語化出来ない肌身の感覚は意外に正しい方角を指し示す力を持っている様に感じることもあります。
アタマで原因と結果をこねくり回す考え方は、概して保守的で一人よがりで、視野も狭く慣習にとらわれがちになりますね。
物事を間違いなく組み立てなければいけないとついついしかめ面になってしまう時には、足下をアホ面して走り回るチビ達の奔放な感性に触れてみるのも良いかも知れません。

アール座所蔵の子供の作品を取り扱った書籍や幼児感覚向けの本などを、例によっておすすめコーナーに陳列しておきますので、興味のある方はお手に取ってみて下さい。
3点程ご紹介しておきますね。

「神様への手紙」
子供たちが神様に向けてこっそり書いた、涙が出るほどかわいらしい手紙集。

「ねむの木子ども美術館 他」 
30年前、施設で絵の具をウマく使えない脳性マヒの子供たちに、使い易いサインペンで絵を描かせて見たら大変な事になった。かつて世界を沸かせたねむの木学園の芸術家たちの感性が爆発しています。

「たいようのおなら」
ご存知、児童詩の大傑作。
人生の中でもずば抜けた感受性を発揮する6〜7才児達の文豪を軽く凌ぐ表現力。

どの作品も有名ですが、何と言うかハッとさせられるモノを持っていますよね。
僕なんかは普段どれだけ発想が固まっているのか思い知らされます。
皆さんもぜひぜひアール座のお席で感覚を開いた上で、快い衝撃を受けて見てはいかがでしょうか。


category:2010 | by:アール座読書館 | - | - | -

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