渋好みの秋

2009.10.04 Sunday 00:08
秋が深くなって来ました。

去年もそうだったのですが、この時期に毎日店に立っていると、飼っている鈴虫達のにぎやかな声が次第に減って来て、やがて静まり返る頃にはたっぷりの無常感を味あわされます。
しかしまぁ、秋はそんな無常観を感じながら、少しネガティブな気持ちで過ごす位がいい季節なんじゃないかと思っています。

もともと僕は秋が大好きですが、おっさんになるにつれてそんな侘び好みに磨きがかかってしまい、近頃では、森や泉など青々とした自然の風景(これも大好き)と同じ位、寂しい「枯れ野」の風景をとても魅力的に感じるようになってきました。昆虫の亡骸が枯葉と共に冷たい風に吹かれてカラカラと路上を転がる、とても美しいとは思えない寒々とした秋の叙景なんかに和んでしまいます。
トシなのか病んでいるのか分かりませんが(両方でしょう)、秋の侘びしさは夏や冬に比べて日本の原風景を思わせるから、トシを食うほど好きになっていくのだという気もします。

日本の自然美って渋くて良いですよね。カラフルな魚達の舞う熱帯魚屋さんで、ふと、一番地味なエサ用金魚(金魚すくいのアレです)が一番美しく思えたり、紋様の美しい陸亀を飼いつつも土色の日本の石亀の風合いに惹かれたり、南国の極彩色の鳥や蝶(ジャングルで見るとこれも大変キレイ)が安っぽく見える程、日本の野鳥や昆虫に深く繊細な美を感じたり。果物なんかも、いつの間にか南国のジューシィなフルーツよりも梨や柿の深い味わいを求めるようになっています。

先祖代々そんな風景に馴染んで生きて来たから、日本人にはこういう地味で繊細でネクラな感受性も血の中に流れているのかな、と秋が来る度に感じます。感情を揺さぶり人目を引く派手なものに囲まれて暮らしている中で鈍ってはいても、歳くう程にそっちに向かって感性が蘇って来る気がします。

この時期、虫の声が消えてから暖房運転を始めるまでの間は、読書館が一番ひっそりと静まり返る季節ですので、テンションを下げつつ、渋めの画集や写真集で枯れた風景なんかを眺めながら過ごすのも良いかも知れません。
読書館オススメの「枯れた本」
画集 河合玉堂、福田平八郎、池田遥屯、文人画、アンドリューワイエス
写真 大和路、山里残影、石仏、prairiescapes

さて、ギャラリーのお知らせです。
10月13日から、店内ギャラリーにて「知紅展 うそつきさん」と題して、写真家知紅(トモコ)さんの作品展が始まります。

風景、人物、万華鏡画像、コラージュ、オブジェ作品と、モチーフ、形態は様々ですが、共通するのは艶っぽい独特の世界観。
作品からにじみ出る妖しくも美しい幻想的な空気感、非現実的な質感と深い色彩を放つ魅力的な作品達が、秋の店内空間を一段、異空間寄りにシフトしてくれそうで、とても楽しみです。

虫と妖怪と民俗学が好物の不思議な女流写真家、知紅さんのブログはこちら→http://fadestory.exblog.jp/

ご観覧の方はワンドリンク以上のご注文をお願い致します。
店内は読書室となっておりますので、お話し声をお控え下さい。
category:2009 | by:アール座読書館 | - | - | -

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2017.09.30 Saturday 00:08
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