アール座と中央線文化

2020.03.10 Tuesday 02:52

皆様、明けましておめでとうございます!

今年もよろしくお願い致します!

 

だって今年初更新!!!

 

悪びれもせず春先に新年のご挨拶するパターンが恒例になってきましたが、おかげ様でこのお店も12歳になりました。

 

昔からのお客様から新しいお客様まで、ご理解ご協力頂ける皆様にご利用頂き、支えられているアール座読書館です。

 

特にウチのようなお店は、相性の良いお客様の存在が命なんですね。

 

いつも本当にありがとうございます。

これからもずっとお友達でいてください!

 

いつも、何かしらでお店の情報が出回ったとき等は一時的にお客さん数が増えるのですが、こんな店ですので、そういう時期には合う方も合わない方もご来店があって、「何だここ?(苦笑)」という感じの方もお見受けしますが、僕はこの店にはそんなことも沢山あっていいんじゃないかと勝手に思ってるんです。

 

いつも行かないような場所に行ってハズれるとか、何だ?変な店だな…とか思うことって、すべてがスムーズに進む世の中ではとても良い方のことなんじゃないかと、お節介心で思ったりしてます。

 

そして少し時期がたって落ち着いてくると、その中でこういう場所にハマるタイプのお客様が新しいリピーター様として残られ、その後も引き続き使って下さるようになるんですね。

 

そんなことが継続の命になっているお店ですので、この方向性を死守することが何よりも大事なことなんじゃないかと考えています。

 

普通お店というものは、なるべく多くのお客様に照準を合わせて方向性を決めていくものなんですが、この辺がうちみたいな店の難しい所です…。

 

 

そんな中で時々感じるのは、この店、立地が高円寺で本当によかったなぁ、という思いです。

 

アール座は昔から「高円寺っぽい」とも「高円寺っぽくない」とも両方よく言われるのですが、多分それぞれ、独自路線の店というイメージと庶民的で砕けた感じじゃないというイメージからのご意見なんじゃないかと想像してます。

 

取材などで「高円寺に出そうと思った理由は?」という質問を良く受けるのですが、実を言うとこの土地を狙って出店したわけでもないんです。

 

物件探しの際には下町側から多摩方面まで東京中を何ヶ月もかけて百件くらい探しました。

 

なぜそんなに苦労したかというと、物件を選ぶよりも先に内装のイメージが出来上がってしまっていたからなんですね。

 

これって多分先にやっちゃいけないんです。

 

きっと順番的に、箱に合わせて後から構想をするべきなんですね。

 

先に作ってしまったイメージがキレイにハマる空間を、諸条件も合わせて探し出すのって至難の業になってくるんです。

 

で、苦労しましたが、幸いにして見つかりました。

 

当時コンクリート壁のスケルトンだった今の物件に足を踏み入れた途端に、バシッと内装イメージがはまって、瞬間的に「ああ、ここになるな」と感じたのですが、結果的にそれが高円寺の物件だったという次第なんです。

 

決まってから、「ネルケン近!」と気づいたくらいです(昔から憧れのお店でした)。

 

そして決定したときには全く意識していなかったのですが、結果的にこの街に出店出来たことが店にとってものすごく優位に働いたんじゃないかと、今では感じています。

 

ぽいとかぽくないとか言われますが、実は高円寺ってものすごい間口が広い場所で、ある種、どんなタイプのものでも受け入れてくれる懐の深さみたいなものがあるんですね。

 

東京のインドとか言われますが、でも、やたらとクセが強いだけじゃないんです。

 

中央線文化全体に言えるところと思うのですが、とにかく受け入れが広く、逆に言うと他の街だと難しいような店が成立してしまう部分もあって、個性的な店が集まった結果、その側面が目立ってくる、という感じにも思われます。

 

かつて、地価がハネ上がる前の下北沢や吉祥寺(ジョージと呼んでた)も、個人経営店いっぱいあって中々雑多だったんですが…今となってはそういう街は貴重ですね。

 

歴史的には、かつての東京は中央線側に軍人や政治家が、世田谷方面では資産家や財界の人達が居住して影響力をもっていたそうで、意外と文化的な趣味のあるネクラな軍人政治家の気質が今の中央線文化のイシヅエになってるという話を耳にしたりします。

 

東京人っぽさと一口に言いますが、細かく見ると都内でもエリアによって本当に人種が違うんですよね

 

昔、店舗を持たず、車でお弁当の移動販売をしていた時代があるのですが、その頃には都内のあちこちを転々としつつ、ひたすらこれを感じておりました。
 

概していうと、何となくスマートな感じの人が多いエリアって、変な人が少ないです(当たり前?)。

 

東京って、エリアによって、異質なことの受け入れに関する態度にすごく差があるんですよね。

 

僕は東京の住宅地生まれですが、これは昔から強く感じる所で、同じ杉並区であってさえ、中央線側と井の頭線側(生家はこちら)で明らかに人のタイプが違います。


この店を出した頃は下北沢の街中で、何の不都合もなく暮らしていたのですが、子どもが生まれ、生活が変わるのに合わせて西荻窪の近くに越してきました。何というか、ああいう場所は子供とか育てるの難しいんです。

 

で、やっぱり違うんですよね。高々数キロ離れただけで…。

 

越してきた頃驚いたのは、仕事帰りの夜道などで、歩きながら普通に歌を歌ってる人がすごく多いんですね。北沢もまぁいたけど、数が違う。 

 

鼻歌じゃないですよ。

結構な熱唱。 

 

若い男の子がしっかりお腹から声出して「OH〜シャンゼリーゼ〜♪」とか、もう選曲だってズバ抜けてます。

 

「カラオケいらないじゃん…」とか思いつつ、最初の頃は軽く衝撃でした。

 

当時いた西荻在住のスタッフにその話をした所、平然と「ああ、そうですよ ようこそ」と涼しい顔で微笑まれ、絶句していたものです。

 

一度帰り道に、自分の前方と後方から別のシンガーがそれぞれの歌を唄いながら歩いて来たときがあって、小心者の僕は「この二人が交錯したとき一体何が起こるんだろう?!」と手に汗握ったのですが、別に二人とも相手のことなど意にも介さず、ただ普通にすれ違って行きました(そりゃそうだ)。

 

遠ざかる二つの歌声の間で、「中央線だなぁ…」と、その生き様に感心したものです。

 

そして最近では、自分自身の鼻歌も段々と大きくなっているのに気づいたりする今日この頃です。

 

すごいぞニシオギ!

 

「こわ…」と思う人もいるかもですが、僕はこういう感じ、とても健康的と感じるんですね。
 

変なことが許されるというか、他人が何しようがどう思おうが、誰も気に留めていない感じ。 

 

エリアによってはそういう行為が絶対に許されない空気の住宅地もありますよね。酔っ払って歌ってる人はいるけど、それと全然違う。

 

きっとそんな地域では、歌うタイプの人でも空気を感じて歌わないのかな、とか、結局あまり居心地もよくないので集まらないのかな、とか思ったりします。


 

ユングの性格分類に外向型気質と内向型気質という分け方があって、ざっくり言うと、社会の価値観に自分の考えを合わせていくタイプの人と、周囲よりも個人の価値観を優先していく傾向の強い人という感じのタイプ分け論です。

 

人の目線や人にどう思われるかを気にする度合いの話とも取れますが、ウチのお店なんかはある種、自分の世界に入り込んでいくような場所なので、圧倒的に内向型気質の方に合うように感じます。

 

マジョリティ志向の強い外向型の人だと、こういう特殊なルールに合わせることを気恥ずかしく思ったり、「ナニココ?店員さんも小声… ププ」ってなったりする方も多いみたいで、僕なんか、むしろそういう人にこそ自分を振り返る時間を提供したくなっちゃうんですが…。

 

こういう店で、椅子にもたれて目を閉じて、本当に上手にくつろがれる方々の姿を長年見ていると、人の本当の充足や満足って、決定的にその人の内側に存在しているように思えてきます。

 

外側である世の中の価値や基準や順位って、幾ら合わせて追っかけても、何だかキリがなくて、本当の意味で心が満ち足りて行かないんですよね。

 

むしろ、人を追い詰めていくことが多いように思えます。

 

特に今みたいに情報発信が激しい時代では、日本人の気質も相まって、恥ずかしいことやヘンであること、外れる(外される)ことへの恐怖が異常に高まってきてますね。

 

しかしだからと言って、社会やマナーをかえりみることもなく、社会性も客観性も欠けた一人よがりの姿勢に固執してしまってもいいのでしょうか?

 

元々「中央線系」というタイプでもなかった僕ですが、そこに店を出して12年、住み付いて7年にもなると、そんな疑問にも、もう堂々と答えることが出来ます。

 

ああ、そうですよ。いいんです。 ようこそ。

 

この辺もう少し突っ込むと、自分と他者のとらえ方みたいなややこしい話にもつながるとこで、最近僕がよく考えることなのですが、また長くなるので今度にしますね。

 

高円寺の一大イベント「阿波踊り」の日に休業してしまうようなハズレたお店ですが(だってムリなんだもん…)、この街の恩恵をしっかり受けていることを日々感じております。

 

とにかくこういう地域文化は大事にしたいなぁ…というお話でした。

 

これを読んで頂いた皆様は、明日からお仕事の帰り道に、きっと思い思いの歌を大きな声で歌い上げてくださると

信じております。

 

でもお店では歌わないで!

 

シャンゼリゼ通りね。

 

 

 

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