アール座読書館の節目のお話
いつもながらお久しぶりの更新です。
長らくの時短営業でご迷惑をおかけしております。
もどかしい日が続きますね。
アール座の夜間営業ですが、いまだ再開の目途が立たず、今後も状況に応じての流れとなりますことをご容赦くださいませ。
早く収まって雰囲気の良い夜のアール座、再開したいです。
例年ですと今頃は虫の声を楽しむ企画の準備をするのですが、夜間営業がその要の時間帯になりますため、今年は見送る可能性が高いです(泣)。
ただ騒動初期の頃、世の中がちょっと張り詰めていて、町の空気に不安や怒りが蔓延しているように感じられた時期に比べると、少なくとも世間の感情的な部分が少し落ち着いてきたように感じます。
今も感染拡大の危険性自体は変わっていないのですが、あの興奮状態は個人的にしんどい部分もありました。
子供の頃から、にわかに皆が一斉に同じ方向に向かって盛り上がる流れ(否定しているわけではありません 今回はそれが必要なときでした)というものを辛く感じてしまうタイプだったんです。
そんな不穏な空気の中で、休業中は店の経営や下手すると人生の先行きも見えない不安の中におりましたが、お客様から届くご心配のお言葉や、不安に駆られてエゴサーチなぞした中でもお店に対する沢山の暖かいお言葉に触れ、かなり救われておりました。
多くの方が店の先行きを案じて頂きましたことを、本当にありがたく心に受け止めております。
お伝えしておきたいのは、現時点で、一部の助成金など頂くことが出来て、今の所は経営存続が危ぶまれるレベルの致命的な経済ダメージにはなっておりません。
お店は引き続き維持してゆける状況にあると思っております。
ただ、一つ個人的なことなのですがお知らせしておこうと思いますのは、実はオーナーの僕が少し前からメンタルの調子を崩しておりまして、しばらくの間店頭に立つことを控えさせて頂くことを決めたことです。
これに関してはまるっきり感染病のせいというわけでもなく、もっと以前から始まっていた個人的な傾向で、なかなか説明しづらい上に、言うことでもないと思って言葉を濁しておりましたが、ここにきて、何となく隠してるみたいな後ろめたさも感じてきたので、ちょっとお話しておきますね。
お店12年もやって来て今さらですが、白状しますと、僕は元々対人不安が非常に強いタチで、人とのコミュニケーションを過度にネガティブに受け取ってしまう部分もあり、悪化すると何でもない出来事を後からありもしない形で思い返したりして心を乱し、生活に支障が出るレベルで感情の不安定が続いてしまうような気質があるんです。
言ってみれば人を雇って飲食店を経営するタイプの人と間逆の気質だったりするんですね。
個人店のオーナーさんって、何だかドンと構えてお客さんやスタッフに慕われているような人好きのする人が多く、いつも劣等感を感じておりましたが、僕自身は、恥ずかしながら通常のコミュニケーションすら苦手な(上滑りするようにやたらしゃべったりしますが…)、その実気弱い中学生みたいなメンタルの大人です。
元々は個人で進める表現系の仕事を目指していたようなタイプだったのですが、飲食店主なんぞをここまでなんとかゴマかしつつやってきたような所があります。
そんな性格だから仕方なくこんな形の店を作ったのかとも思われがちですが、それは違います。
もっと積極的な高い志がありました。これはなんか言っておきたい。
気質自体は昔からだったのことだったので、長らく「こういうものは経験をつんで克服しなければ」と思って努めてきましたが、人とのやり取りを考えすぎる性格は一向に変わらないどころかひどくなる一方で、弱いところがどんどん弱くなっていきました。
どちらかというと大きな出来事よりも日常的な小さなストレスが積もって、段々と長時間の接客や人事自体が辛くなり始めたようなところがあり、やがてピークタイムを回しながらパニックのような発作が出てしまうようにもなって、色々な方向性を考え始めたのですが、特にこの前の休業中は急激に心の安定を崩し、一日の中で激しく感情が上下してしまう日々がこれまでにない程続きました。
店に戻ることがどうしても怖くなってしまって、専門の方の話もあって、まずは経営維持のためにもこういった症状が慢性化する前に少し現場を離れようという結論を出した次第です。
誤解のないように言っておきますと、態度の強いお客さまが多かったというような話ではないです。
僕が携わってきた店の中でも、アール座のお客さまはご理解ある優しい方の比率の方が全然高かったです。
ただ、自分で作ったこの特殊なシステムの維持執行や営業中の空気管理に関しては心の使い方が極端に特殊な所があることや、その他色々な要因も重なって、それらが僕自身が元々持っていた不安定さとかち合ってしまったような気がします(言い訳したい…)。
正直どういう欠陥があるのか自分ではよく分からないのですが、昔から何をどうやっても人とズレてしまい、最初から距離を取られたり軽く扱われたりすることも多く、人間関係にポジティブになれる経験が少ないまま、いつの間にかネガティブな歪みを持つようになってしまったところもあります。
お聞き苦しい言い訳をしてすみません。
僕自身の全部話してしまいたいという気持ちが勝ってしまっているんだと思います。
ただ、そんな自分の性格を認めてしまって、現場を逃げ出してからは少しづつ気持ちも軽くなり、今日々の中で安定した時間が確実に増えてきています。
そんな中で、こういう店はいわゆる飲食店オーナータイプじゃない、メンタルの弱いやつだからこそ作れたんだという自負も生まれ、もういい加減この気質を許し受け入れて生きていこうと、今は思っております。
もちろん営業自体はこのまま続けていくつもりですし、僕自身も店頭復帰の方向について考えられるまでになりました。
幸いウチのようなお店はオーナーの人柄とか(個人店はそういう所が多いです)よりも、システムが店を作っている部分が強く、人が代わってもそれを維持していける面があります(空気のカラーのようなものはどうしても人によって変わってきますが)。
今や僕なんかよりも余程上手に空気を作る若いスタッフが責任を持って空間を管理してくれますし、僕もクオリティが落ちないよう細心の注意を払って指導してゆくつもりです。
実はアール座の空気管理に関してはかなり面倒で細かいマニュアルや方針があって、スタッフにはそれを非常に緻密な部分まで伝え共有しつつ、密に連絡を取りながら店に立ってもらっています。
どうかアール座空間の質に関しましては、今まで通りのご信頼と共にお使い頂ければと思っております。
なんて言ってますが、自分が出来ないのはやはり悔しい思いがあります。
ややこしい話で誤解される所かもしれませんが、接客の仕事が嫌いということではないんです。
12年の接客の時間を振り返ると、お客様との嬉しいこと楽しいことばかりが思い出されるんです。
こんな風に臆面もなく内面の状況をお伝えしているのも、大好きなお客様との僕にとって本当に大切だったやり取りの時間から、決して軽い気持ちで離れるわけではないということをお伝えしたいからです。
この店はお客様とのお話をほとんどしませんので、何年も通って頂いているお客様のお住まいやお仕事も存じ上げなかったりしましたが、その分本当に濃い気の交流を間違いなく感じておりましたので、そんな情報よりも深く通じ合えていたと思っております。
馴染みのお客様なんかは、入口でお顔とオーラ(?)を拝見しては、向かわれる座席やその日オーダーされるメニュー(皆さん傾向とお好みがあります)をこっそり当てに行ったものです。割と当たってた!
ちょっと引かれるかもしれませんが、よくお客様がテーブルに残してくださる軽いメモ書きのメッセージなんかも、1枚残らず保管しております。怖い?
子どもの頃からどうしても周囲から浮いてしまって、何度チャレンジしても上手に人と仲良くなれなかった自分のような人間にとって、初めて人様に受け入れてもらえたような環境でした。
皆様と向かい合う時間は僕の心の救いでもあったんです。
人の役に立つことをしたいとか思ってこんな店を続けてきましたが、その実、一番救われ支えられていたのは僕自身でした。
今となってはそれもそんなに悪いことではないとも思っております。
もちろん一旦現場を離れても、自分が作った店ですので、今まで以上に強く関わっていきたいとの思いがあります。
本当はここからが一番お伝えしたいことです。
これからは外側から店をもう一段深く掘ってゆくつもりです。
空間や出来事をアレンジし、手を加えていくことで、間接的にお客様と関わらせて頂けたらと思っております。
これまで自分が店に立っている間は思うように時間がとれず、心の余裕もなく、やりたくても出来ずにいたアイディアや企画、思いのようなものが本当に沢山あったんです。
今、やっとそこに手をつけられる状況になりました。
正直、この規模の店で全ての時間に人を雇いながら生活を立てる利益を確保するには大幅な経営改善が必要なのですが、ぶっちゃけ狙っているのはリピート率とアイドルタイム(すいている時間)で、目指しているのは深入り出来るお店です。
元々ウチは座席にギミックがあったりして、色々探したり、入ろうとすると入り込める部分がありますが、ここをぐんと掘り下げて隙間から入り込める「裏側」のような場所を作って、来るたびに毎回違う体験が出来たり、こちらとも間接的にコンタクトをとれたりするようなお店が出来たら楽しいなと考えています(すいてる時間が狙い目…というわけです)。
何のことかよく分からないですかね…
もはや飲食店ではないような形です。
もちろん今まで通りに普通に使うことも全然出来ますし、そんな使い方も大歓迎ですよ。
サラッと使えばサラッと過ごせるし、深入りしようとするとどんどん奥が出てくるような二重構造の店を、今後は目指していこうかと思っています。
一つ言ってしまうと、手始めにこれからメニューブックを変えていこうと思います。
さっと見て選びたい方は最初のページを見てさらっと決めることも出来るし、興味ある方はどうぞ深入りしてください…そうするとより直感的で余計な話が多くなってくるブックを考えています。
メニューはおすすめも内容も座席ごとにかなり違いますが、先ずは1番7番8番卓辺りから変わってゆきます。
今後は隠しメニューやアイテムなんかも少しずつ増やしますが、そういうものはお座席ごとに違いますので、ぜひそのお席で出来ることはその日の内に楽しんでくださいね。
この手の事っていつもあまり言わずに進めるのですが、今回は色々お話しちゃいます。
そんなことしてまでお伝えしたいことが僕にはずっとあって、それを通じて皆様と関われたらといつも思っております。
「豆腐メンタルに言われたくないわ」というような内容もあるかと思いますが、そこはこのブログ同様、自分のことは思い切り棚に上げて進みます。僕なりの苦しみの中で見出したものだったりもするんです。
少しずつ進めますので、興味ある方はぜひお楽しみ下さい。
重ねて言いますが、全くそこに触れずに普通に過ごせるラインはそのまま残りますからね。
取りあえずはどうにか感染が収まってもらって、フルタイム営業を再開させたいです。
そこを目指して色々なことを始めて行けたらと思います。
もちろん店にはちょくちょく顔を出しますし、メッセージなどはスタッフも言付かりますので何かありましたらご遠慮なくどうぞ。
そんなこんなで色々変わる節目ではありますが、変わらずアール座読書館を見守って頂ければと思います。
今回はネガティブなお話し多くてごめんなさい。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
席ごとに違うと作るの大変!